古代エジプト関連限定ブログです! 宗教思想関連多め
メトロポリタン美術館
古代エジプト展
『女王と女神』
2014年11月某日 神戸市博物館
http://www.city.kobe.lg.jp/culture/culture/institution/museum/tokuten/2014_4met.html
展覧会公式
http://met-egypt2014.jp/
*
日本初公開、「メトロポリタン美術館」の古代エジプト展です。
いやー。行って参りました!
10時ごろ現地に着きました。
ぜんぜん混雑しないうちに入って、ゆったり二時間見てまいりました。
(だんだん人が増えてきましたよー)
行った感想としては、やはり、
女性に関するものが多かったなあ、という印象でした。
化粧道具とかハトホル(人型)頭部は正直惹かれるものがないのですが
(ハトホルの正面顔とかに美を感じない←笑)
儀式用の鋤とかですね、ああいうのいいですよね…!
ハトシェプスト葬祭殿の模型とかは模型だけどとても良かったですよ!!
楽しむポイントとしては…
ハトシェプストの王名を覚えておくといいかもと。思いました!
メナト【ハトホルの象徴具でもある、ビーズが幾重にも連なったものとその錘で、繁殖・誕生また再生復活などを促すと考えられた】がたくさん出てきましたが
51番の、ビールの栓抜きみたいなヤツのデザイン
とても良かったですね、繊細で。
新王国らしいというかちょっと東のものっぽい繊細さですよね。綺麗です。
74番、アンケト神の頭部(小さめサイズですが)も来ていて、
なんか珍しいなあと思いました! アンケトとか!
この女神様は羽がたくさんあるのでけっこうすぐ判別できそうだけど
後ろに(見なかったけど図録に載ってて)「アンケト」って書いてたw
どの女神か分からない、とか、たぶん女神だろう、とかいうのもけっこうきてました(笑)
てきとうだなーみたいなw もっと分かってるのあったろうにw
カーネリアン(紅玉髄)のものがいくつかあって、
あの色合いを生で見れるのは幸せですね!
燃えるような赤から黒っぽい赤、黄に近いオレンジまで。
そのカーネリアンについて
「seweret(スウェレト)」と呼ばれるものがあったので
気になって、帰ってから少し調べました。
後述します。
あとですね~
98番の指輪。
シュウとテフヌトらしいということで
珍しいですよね~!
この二人っていうのがなんか珍しいなと。
好きなんですけどねこの二人。いろいろ複雑な意味を持ってそうで。
左がシューです。右が女神なのは「花を持っている」ことで判断されるかと。
シューと一緒にいる女神といえばテフヌト、と、そうなってるのではないかと思います。
ちょっと逸れますが
ツタンカーメンの墓を見つけたあのハワード・カーターの絵も来てましたよ!
って現場で見なかったんですが(笑)
元々美術のほうの方だったとは聞いてましたが、すごく美しい絵を描かれるなと思いました。
模写というより少しアレンジ入ってますよね、綺麗です。
102のティイ王妃頭部は石の質というか色合いが(博物館で見ると)良い褐色でした!
珪岩というそうで。図録はまったく印象違いますね…。
赤茶でざらっとした感じが良かったです。
シストラム(がらがら)とハープが来てましたが、
上から音を聞かせてくれるようになっていました。ハープは素敵でした~~今と変わらない。
132はこれですが
髪飾りだと。思ってましたが違うかもって。重すぎるから。
けど、胸飾りとしても重過ぎるし、第一幅が広すぎだろう、と思いました正直。
よく似たものが壁画に描かれている、とありましたが…
うーん似てるかなって言うか…長すぎない?みたいな
もっと根拠あるかもですが。
140「ヤグルマギク型の線状細工ネックレス」
すごく繊細でいいですよね、モチーフにしたこともあるですが。ちょっとエジプトらしくないかもだけど好きです。
19王朝のらしいですね。線状、とある通り、線を輪にしたりして組み合わせてできています。
これが作る影とかがまた美しいですよね~~。というのは描いてから気づいたw
あと魚が連なって泳いでるのはネックレスと思ったら腰帯だそうで…
付け外しはどうやってるの!?的な…。
階級問わず多くの女性が愛用、とありますが
壁画で見たことがあまりないような(裸の踊り子ならあるかも)…。
132のアレが「壁画で見ないから髪飾りじゃないっぽい」って言ってるしなあ、とか…。
さて、最後に棺がありました。
なんというか、エジ展だから持ってこないとだめでしょってことで持ってこられたような棺ですが(今までは死後の世界を中心に展示物を選択することが多かったように感じるので、私たちのエジ展のイメージがこういう、棺やミイラ、ですよね。でも、今回はほとんどないんです。死を感じさせない。ある意味残念だったところもw いや、こういうのもいいと思います!)
これまであまりに男神要素がなさ過ぎたせいで一番時間かけて楽しみました(笑)。
神様の名前を見つけようの会です。
えっと。ホルスの4人の息子とか(下の方の左右に二人ずつ)ヌトとゲブ(上腕の左右)とかいました。
ひとつ、bS(?)nwというのが、おそらく神名としてあって、それが不明なんですよね…
辞書開いたら該当がなかったので、Sじゃないかも、横長の四角っぽかったけど…石かなあ。
左右両方にあって。確かウルトヘカウか何かの下に。もううろ覚えですが!
誰か分かる人いたら教えてください~!
神名があるのが側面のほうだったので図録ではぜんぜん確認できない!
という感じでざっと感想でした。
そうそう、図録ですが。
今回はテーマにぴったりの女性らしい繊細さを感じさせるおしゃれなデザインでした。
すごいですね、徹底してる。デザインした人のセンスを感じます。角が丸いし、周囲に余白を取ってある。デザイン凝ってるなあと。
ポスターのデザインからして違いましたものね、あの、色合いと、文字。文字ですよ。古代エジプトのものがまた違うものに見えちゃうような。
なんと言うか…そう、資生堂パーラーの袋みたいなデザイン!!w
それはおいといて、
一つ一つについて横に簡単な説明がきちんとなされているのですが、
この図録は、加えて、もう少し詳細な説明を巻末につけています。これがとてもありがたいです。
あと、テーマごとに章立てされています(ハトシェプスト、とか、ハトホル女神、とか)が、
それぞれのイントロダクションに1p文をつけているし、
この展覧会をテーマにエッセイが書き下ろされ、それが日本語訳と原文両方で読めます。
いや、すごいなと思います、読み物としても楽しめる感じで。
まだ全部読んでいませんので、ゆっくり楽しみます!
***
さて
後述、といっていた「seweret(スウェレト)」。
これが気になったのは
・カーネリアンである
・喉にあてるようにして置かれる
という部分でした。
というのは、ある本の説明で、
アヌビス神の特徴として「首に儀式用の布か何かを巻いている」というのがあるのですが
それが、赤い場合が多いということで
ツタンカーメンの王墓にあったアヌビス像がそうです(が、全てが必ずそうであるということではどうやらなさそうです)。
なんで赤なのかなとか。首に巻くことに意味でもあるのかなと思って。
このスウェレトも、カーネリアン=赤、ですから
何か意味があってやってるんだろうなと。
まずヒエログリフを見ようと思ったのですが
出てきませんで(涙)、
swr(t)で、飲み物、とか、飲み物の供給、とかいう意味がありました。
巻末の詳しい説明では
「ミイラの首のまわりにセウェレトと呼ばれる紅玉髄のビーズをつける習わしが中王国時代にあった」
「ビーズが包帯と包帯の間ではなく、体に直接つけられていたことを示す証拠も」
とあり、
自分が調べた範囲で分かったことは
「スウェレト・ビーズは中王国時代に一般的だった。カーネリアン(紅玉髄)でつくられ、死者の喉につけるもので、しばしば死者の名が刻まれていた。遺体の保存状態が維持されることを保証するものであったと考えられている」
(http://www.metmuseum.org/research/metpublications/Hatshepsut_From_Queen_to_Pharaoh より)
という感じでした。
もっと細かく研究され、論文も出ているかもしれませんでしたが
今分かることはこのくらいです。
まず、中王国時代にそうした風習があるとは知りませんでした。
思えば中王国の文化や習慣についてはまったくチェックしてません…
これからもう少し気にして、このあたりの情報も集めていければと思いました。
第二中間期の未知の王の墓発見
http://luxortimesmagazine.blogspot.jp/2014/01/abydos-dynasty-tomb-discovered.html?spref=tw
今まで知られていなかった王の墓が見つかりました。
発見はペンシルベニア大学の調査隊によるもので、アビドスの南ソハグSohagで見つかり、
王の名は「セネブカーイ」。
***
この名がカルトゥーシュに囲まれて描かれたものはこれまで一度も発見されていませんでした。
墓は中王国時代の石を再利用して作られています。
木製の棺の内側には王の骨が見つかりましたが、状態が悪く、
古代の盗賊に荒らされたようです。
王は185cmくらいの背丈でした。
カノポス壷も見つかりましたが、葬祭家具等はおそらく古代に盗まれたのでしょう。調査隊の検査官Ayman Damarany:
「発見された墓はセベクヘテプの墓の近くに位置しています。おそらくセネブカーイ王の墓はK.Ryholtの言う『アビドス王朝』に位置づけられるでしょう」調査隊の所長、Josef Wegner博士:
「この王が統治していた時代は謎だらけで、墓が発見されるまでほとんど情報が無かった。
墓のサイズの小ささも、当時の経済状況の悪化を反映しているのだろう」
***
ちょっと適当に訳しました。
壁画が少なくて(白い面が多い)、
絵のバランスがあまりよくないですよね。
丁寧でないというか。
王様の墓とは思えないですよね…。
第二中間期なので
1年も統治できなかったのかもしれませんね…。
Abydos Dynastyって、何でしょうね……?
↑第二中間期の王朝のひとつだそうです
こちらの本を薦めていただきました・・・
Political Situation Egypt
Kim Ryholt
http://www.amazon.com/Political-Situation-Egypt-CNI-Publications/dp/8772894210
↑関連部分が博士のご厚意により一部引用公開されたようです。
(http://www.egyptologyforum.org/bbs/Abydos_Dynasty.pdf)
●早稲田隊が3千年前のビール作りの長の墓を発見!(追記1/7:赤字)
早稲田隊の正式発表です(2014.1.7)
http://www.waseda.jp/rps/information/result/press/20140107khonsuemheb.html
2013年の12月29日に、ルクソールの西岸で発見されたようです。
いやいや、びっくりです!
この壁画の美しさを見てください…!
http://www.bbc.co.uk/news/world-middle-east-25593526
こんなものがまだ眠っているのですね……!
こちらも!! 天井の模様がはっきり見えます!
http://luxortimesmagazine.blogspot.nl/2014/01/the-way-to-start-new-year-ramesside.html?m=0
こうしてみると、
残っているのは一部なのでしょうか…。瓦礫がいっぱい…。
でもその一部が驚くほど綺麗…。
これは、修復でまだ綺麗な部分(剥がれ落ちたもの)が見つかるかもなのかな……?
アハラムの記事を(補足しつつ)訳します。↓ http://english.ahram.org.eg/News/90724.aspx
*****
日本の早稲田大学の調査隊が、
「Khonso-Im-Heb(おそらくコンスエムヘブ、祭の中のコンス神の意)」の墓を発見しました。
彼はムト女神のためのビール作りの長で、ラムセス朝期のgalleries(倉庫?)(間違いだそうです、どうやら「工房」)の長でした。
この墓はTT47墓(新王国アメンヘテプ3世の時代の高官、ハレムの長ウセルハト。BC1354年頃の人物だそうです)の前庭のクリーニング作業中に偶然発見されました。
コンスエムヘブの墓は2つの広間と埋葬室を備えたT字型をしています。
そして未完の墓(Honという名のいまだ不明の人物のもの)と繋がっています。
(正式発表を見ると、先にこの未完成の墓を見つけて、それからコンスエムヘブの墓の発見に繋がったようです)早稲田隊のチーフである近藤二郎教授。
「墓の保存状態は良く、墓主とその家族が様々な古代エジプト神の前に描かれた場面など、すべてが彩色されています」『口開けの儀式』の場面も墓壁の一部にあらわされ、その天井は鮮やかな色の幾何学模様で飾られています。中核(写真を見ると、口開けの儀式の描かれた下の段? 発表によると、その「天井の」中核に、太陽神賛歌とともに描かれているようですが、写真はまだ確認できていません)には太陽の船(図を見る限り、太陽の舟ではなく、葬儀用の舟。ミイラを運ぶ船だそうです。泣き女がいるようです)が描かれています。
考古大臣モハメド・イブラヒム氏は、アハラム・オンラインの取材にこう答えています。
「発掘作業が完了すまで周辺の警備を強化します」
「観光客を迎えるために、発掘後は包括的な修復作業を行うつもりです」
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http://www.theatlantic.com/international/archive/2014/01/discovered-the-tomb-of-an-ancient-egyptian-beer-brewer/282801/
この↑記事の下のほうを少し訳します。
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コンスエムヘブはビール醸造者であるばかりでなく、作られたビールを保管しておく倉庫の長でもありました。
彼の死後の休息の場は、彼の人生における役割そのままです。――黄金色に彩られ、活気に満ち、見る人を酔わせ(夢中にさせ)ます。
エジプト考古大臣モハメド・イブラヒム氏はこの墓の特徴をこう説明します。
「この素晴らしいデザインと色は、日々の生活を・・・彼らの宗教的儀礼に沿って、事細かに表しています。」
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壁画の彩色の鮮やかさ!
こんなに残っているなんて。こんな墓が未発見だったなんて!
壁画の美しさを強調されているということは、中には何も残ってないのかもしれませんね。
古代、墓を閉じた直後から盗掘があったようなので、しょうがないかもしれませんね…。
それにしても本当に美しいです。
死者の書の挿絵のようですね。 いやあ、驚きの保存状態です!
ルクソール・タイムスのものを見ると、
『口開けの儀式』の絵がかれた壁の左側には、おそらく墓主の姿を象ったものと思いますが、像があります。彩色されていますね!
↑どうやら墓主の像と思われていた、端に映った像は、墓主の「娘」の像だったようですね。墓主とその妻も、隣に像があるようです。
また、シャフトが発見されているが今は墓そのものを閉じているようで、シャフト下の埋葬室の発掘調査はこれからとなり、まだまだ発見が続く可能性がありそうです。
ツタンカーメンの衣装展が開かれています!
古代エジプトの新王国を生きた少年王の衣装を
現代に復元する企画が、
1990年スウェーデンで立ち上げられました。
古代と同じように赤い色を茜、青い色を藍で染めることにしたところ、
藍染の技術が当時のヨーロッパになかったため
日本の藍染無形文化財技術保持者・中島安夫氏に依頼されました。
5年以上の歳月をかけ、復元された貴重な衣装13点が、
日本(埼玉県)で展示されます。
http://www.izome.jp/news/tutankhamun.html
会 期 : 2013年10月2日(水)~12月25日(水)
10:00am~4:00pm[日曜・祝日休館]
入館料 : 1,000円
会 場 : 武州中島紺屋
※図録(A4/44p/1000円)は後払いで郵送してもらえます。
電話で相談されてみてください。
展示はクリスマスまで!!
こういう、服とかって展覧会でもなかなか見ないので……。どんな服をどう着ていたのか、想像するのにとっても素敵だなと思います。
***
それから
ツタンカーメン展が来年(2014年)の3月から約一年間、
ふたたび日本を巡回するそうですよ!
http://allafrica.com/stories/201311251041.html
前回のものと同じなのか、違うとしたらどこが変わるのか、
分かり次第情報発信します……気力があれば(笑)
***
ところで拍手にコメントいただいてます、ありがとうございます。
お返事したほうがいいのかなと思ったものがあったので少しだけ。
(11月にいただいたのに気づかずすみません…コメント欄にいただければすぐ気づけるのですが><)