『天の牛の書』の最後のほうにちらっと書かれているアレ↓
「南の壁に、中央にその顔がある女神を描け、蛇が地の上に尾で立ち上がり、その体の上に彼女の手が来るように」(ちょい意訳)
これが
『洞窟の書』第5部に見られる巨大な女神図その名も「シュタアイト」(秘密の者(女))ではないか、と言われていますが
 | →抜粋
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三段ぶち抜きで描かれる印象的なこの図(右のでっかい女神のほうです)。public domain
上の説明通り、
・2つの蛇が女神の左右で真っすぐ立ち上がっていて、その頭は神の髭をそなえた人の形をしている。・その上に女神の手、手の上には太陽円盤と、雄羊頭の神。どちらもラーに関係してる。・左側は、4つの太陽神に関係する姿で、上からスカラベ、雄羊、雄羊頭の神、子供。ぜんぶ下を向いており、一番下にはそれを送り出す両腕。・右側は、4つのワニで、間には下から雄羊頭、スカラベ、ウジャト。全部上を向いており、一番上には太陽円盤。 この、女神の胴体をはさんだ左右は、対のように見えますよね。
疑問なのが、
・それぞれに対応した(同等の)ものなのか、
・真逆の(対立している)ものなのか、
・下から上にぐるっと一周するものなのか。
・・・どうなんだろう???
とりあえず、図に書かれている文字が何か説明しているのではないか、と思って、それを探すことに。
 | ←(クリックで拡大) でもなんか、不思議な文字なんですよ。 三本の草(M2)がやたら書かれてる。 草なんて図には描かれてないし、こんな単語あったっけ的な????? |
やっと見つけた訳("The Tomb of Ramesses VI" Piankoff,1954)を見てわかった。
これ、暗号で書かれてるんだ…。
しかも、ぜんぜん図の詳細を説明してなかった。もっとざっくりだったww
この暗号表記、他の部分はとなりに答えが並べてあることが分かり、読めるのが楽しかったので記事にw
では暗号解読していきましょうwww ↓↓↓↓↓↓↓↓
 | まず一番分かり易いのが、女神の頭の上にある文字。 女神の名前を書いています。StAyt。 これが左の一行目。 その次、二行目から三行目は、 まったく同じStAytを暗号表記で書いているだけ。
Sは同じ T(ロープ)=t 鳥=A 草=i(y) |
読めましたでしょうか?
次に短い、ワニの右の1行、いきます。
→ |  |  | 一行に、暗号とふつうの書き方で書かれてます。 上(左側)が暗号で、下(右側)がふつう。 <左右に分けて比較しやすくしてみました> npAy⦅固有名詞⦆ xftyw(敵)Ra(ラー(の))
上でわかってるのが、【草=i】(npAyのy=ii)と【鳥=A】
赤冠=n 出血=p <丸と蛇は、決定詞みたいなものっぽい> xftyw(敵。普通の書き方では読みがなも付いてる)は同じ Ra(太陽。普通の書き方では読みがなも付いてる)同じ |
かなりわかってきました。
基本、暗号では読める音を変えてるだけのことが多くて、決定詞が少ないです。
さあでは、一番長い、女神の左側のやついきます。
こちらも、左端一行がまず暗号で、次の行から
普通に書かれています[青の囲い部分]。 → |  | ①鳥=A(ハゲワシ)、m(フクロウ) ②「隠れる」ポーズの人物=imn ③目玉≒目=ir ④「行け!」という単語is=s ⑤Xrwと書いてxrw(音が近い) ⑥Xnw「内側」意味が近いので ⑦diと読むことがあるため=D (画像の翻字間違ってます) ⑧同じような山の図なので ⑨? ⑩へび≒コブラ=D(d) ⑪バッタ=rと読(むらしい)ので ⑫へび≒ツノヘビ=f ⑬?? ⑭アペピのp=?(悪Dwという文字なので、意味的に?)
※左の画像の、赤い枠で囲ってある部分は暗号表記のみで、「Spyw」と読む。 |
ここの一文を(赤い囲いまで)訳すと、以下のとおりです。
Htp Ra m Dw imnty r irt sxrw imyw tA,
「ラーは地の中にある者たちに指示を行うため西の山に沈む」
psD=f m Dw iAbty r dr pf(y) wnty aApp Dw irt, Spyw
「彼はあの者、ウェンティ、アペピ、邪悪な目の者、目が見えない者たちを追い払うため東の山に輝く」
さて、だいぶ暗号の文字が読めてきたところで、はじめの部分に戻りましょう。
はじめの3羽の鳥はよく分からないのですが(mでもAでもあるし、もしかしたら他の鳥の文字もあるかも…)、ほかのぶぶんを翻字して並べると、たぶんこんな感じ
 | ? ? ?,(k) r? mDAt(巻物) S m(でもたぶんt) A i i t (ir?)
w
s i
p
a A |
これを区切ると、たぶん、
???(k) mDAt StAyt, irw ispw aA
「???~秘密の者の書、大きく割り当てられ(飾られ)た姿」
とかなのかな、と…。
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けっきょく
ワニ4頭が何か分からないですね。
敵か、味方か…。
でも、npAyという単語、よくない意味で使われるものがあって、決定詞がワニのこともあるし、
ウェンティは、ここではアポピスの仲間(もしくは「覆うもの」=アポピス自身)ですが、同じ(ペン)ウェンティでワニの神さまの名前があって…それは、守護するものだったはず…。
それとも「”ペン”ウェンティ」と「”ペフ”ウェンティ」で立場が変わるのかとか…
うーんわかりません…。
ただ、この両腕が子供を持ち上げる図は明らかに「再生」の場面で、
それは東の空で行われていて、
文にある通り、ここでは同時に光で敵を追い払っているので、
ちょうど逆を向いてるワニたちは、ラーの光に追い払われているのかもしれません。
(その光を、牡羊頭やスカラベ、ウジャトで表現した、とか)
(ただそうなると、再生は上に向かいそうだし、追い払われるなら下に落ちそうですよね…。うーん…もしかしたら、ラーはヌト(≒シュタアイト)の股の間から生まれるので、そっち向きなのかも…?)
はっきりしないままですみませんが、
今回は暗号を読めるの楽しかったということで^^