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古代エジプトのこと

古代エジプト関連限定ブログです! 宗教思想関連多め

月の書3 CT157

はじめの説明と目次はこちら

◆◇157章

 満月。ここではホルスとセトの争いを通して、二つの異なる傷を「ホルスの完全な目=満月」が被る内容が見られる。

●まず第一の傷。


Ⅱ334b 「彼、ラー神はホルス神に話した。」
c   「『あなたの目を見せなさい、それらが起こったから。』」
d   「彼がそれを見ると、」
Ⅱ336a 「彼は言った。『あの一部をよく見なさい、」
b   「あなたの腕はその中にあるウジャト(健康な目)を隠している。』」
c,d   「ホルス神は彼の一部をじっと見ながら言った。」
Ⅱ336a 「『見てください、私にはどちらも白く見えます。』」
b   「そうしてオリックスが現れた。」

 最後の行、オリックス(mAHD)が現れるのは、
 その前の行でホルスが「見る(mA)」、「白(HD⦅.wi⦆)」を、としたためで、語呂合わせになっている。
 オリックスについて、ギリシャ・ローマ期の、オリックスを殺す壁画の横に、こうした記述がある。
「ウジャトの眼を構成するものを与えるために、オリックスを焼き、殺す。月よやって来い、あなたが空を自由に横切れるように。そうすればその動きは無傷で健全であるだろう」(←おそらくウジャトが完全に無傷な状態であるためには、オリックスは邪魔なので、焼き殺すということ)
 ホラポロもオリックスは月、特に満月との関連を示唆し、それは月と太陽が(同時に?)昇ることを予言するものだと言った。また彼はこの動物を、月に有害なものであるとも言った。

 さてCTの部分を見ると、オリックスは、一時的に覆いがされた後に出てくる。
 ラー神が、ホルスの天の眼に覆いがされてると指摘し、ホルス自身は、傷などなくちゃんと光っていると答える、その後に。

 これらの内容をすべてあわせて考えると、
 オリックスは満月の時のみ現れ、それに覆いをするものであるため、
 月食を表現していると考えられる。
(何時間も見かえしてやっと今意味が分かったよ!!面白い!!w)


●第二の傷は豚というセトの動物が関係し、それによってホルスが気を失うため、これからの欠けを予感させる。


Ⅱ338c 「ラー神がホルス神に言った、」
d   「『もう一度あの黒いをよく見なさい。』」
Ⅱ340a 「そこでホルス神はこの豚をよく見ると、」
b   「彼の眼に嵐のような痛みが起こされたため、ホルス神は泣きさけんだ。」
c-Ⅱ341a 「彼は言った。『みてください、あれは私の眼を打ったようです。はじめにセト神が私の眼にしたように。』」

  は満月と強く結び付けられており、
 ここでも後代の例がこの思想のヒントを与えてくれる。

 エドフ神殿の記述や古代の作品によると、古代エジプト人は満月の日に豚を犠牲に捧げ、豚肉を消費したという。
 またプルタルコスによると、セトは満月の明かりの下で豚を追いかけていたところ、オシリスの身体を見つけ出したという。

 一方、豚は月を脅かす側面も持っていた。たとえば「門の書」や前7世紀ごろのデルタの神話教本によると、豚は月をのみこもうと待ちかまえる嫌なやつだったのだ。

 というわけで、CTのこの部分に書かれたについては、月の眼が受ける通常の傷、つまりこれから月が欠け行くことを示唆している、と考えるのが妥当であろう。


***

 月食のことも触れてるんですね。
 もう説明が謎解きのようですよ。何のヒントになってるのか全部読んでよく考えないと分からんw でも分かると楽しいですよね~!

次は158章「欠けゆく月」です。

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あやめ
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 古代エジプトについて趣味でいろいろ。
 ド素人が楽しくやってるだけのブログ。間違いもいっぱいあります。気付いたら直します。ご指摘感謝です。
 エジプト語読んでみる、とか書いてますが、ほとんどは訳を参考に、元の表現を確認しているだけ。文法がふわふわ。
 気が向いたときやるかも、みたいな。

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