日本神話の天岩戸のお話が、日食を表しているかも?といううわさ話(特に詳しく調べてない)から、
『ホルスとセト』の中で、ババイに馬鹿にされていじけるラー神のエピソードは日食と関係あるのだろうか?とおもい
確認をしてみようという感じ。
一応、ちくまの神話集成で確認をしてみて、うーん、どうかなあという感じ…。
原典は、チェスター・ビィティ・パピルスの第一巻、表面(Recto)
該当部分は、それのシート1の第3頁から4頁というかんじ。
抜粋してヒエログリフに直しました。
原典はこちら、
チェスター・ビィティ・ライブラリー ヒエログリフに転字されたものは
こちらを参考にしました。
音訳と訳を、神話集成を参考にやっていきます。文法あんまわかんないかもなのでてきとう…。
(興味があるところだけ、途中と最後は省きますw)
ババイのセリフからです。
***
(3.10)Dd n pA ra Hr-Axty kAr=k r Sw
(ババイが)ラー・ホルアクティに言った。「お前の祠堂は空になるぞ!」
aHa.n pA ra Hr-Axty Sn n tA wSb(t) i.Ddy n=f
そうして、ラー・ホルアクティは彼に対して言われた反応のために苦しんだ。
(3.11)iw=f
nma=f Hr psD=f 彼は
背の上に寝た(仰向けになった)。iw ib=f r Dw aA wr
彼の心はとてつもなく悲しくなった。
aHa.n tA psDt pry r-bnr iw=sn
(3.12)aS-sgb aA r Hr bAbA(y) pA nTr
そうして、九柱神は(家から)外へ出てきて、神ババイの面前でとても大きな声で怒鳴った、
iw=sn Hr Dd n=f pry n=k r-bnr pAy btA
(3.13)i.irw aA r-iqr
彼に対しこのように言って。「外へ出て行け! お前の犯した罪は極めて大きいぞ!」
iw=sn (Hr) Smt r nAy=sn
imw(そして)彼らは彼らの
テントへ帰った。
aHa.n pA nTr aA Hr irt wa hrw iw=f
(4.1)nma Hr psD=f m
pAy=f sH そうして、大いなる神は一日中すごした、
彼のホールで背の上に寝て(仰向けになって)。iw ib=f r Dw aA wr
彼の心はとてつもなく悲しくなった。
iw=f wa.tw=f
彼は一人ぼっちにされた。
xr ir aA iAdt aAt wn in (4.2)Hwt-Hr nb nht rsy Hr iy
さて、かなり時間が経った後、それから、ハトホル、南のいちじくの主がやってきた。
iw=s Hr aHa m-bAH it=s nb r-Dr
彼女は父、万物の主の面前に立った。
iw=s kfAt kAt=s r Hr=f
彼女は彼の面前で陰部をあらわにした。
aHa.n pA nTr aA
(4.3)sb(T) im=s
そうして、大いなる神はそれに笑った。
wn in Hr dwn=f iw=f Hms・・・
それから、彼はまっすぐになり(しゃんとして)、・・・座った・・・
***
とりあえず、
テントに隠れるイメージがあったんですが、
よく読み直してみると、隠れるという単語はないですよね…。
「テント」「仮小屋」と訳せる単語sHはあるんですが(これが、九柱神の帰っていく
テントimwとどう違うのか、イメージできませんが)、悪口言われた後、すぐ
「仰向けに寝て」いるので、その場でひっくり返ってそうかも。
そうしたら、このsHは「ホール」の意味かも。と思ってそう訳しました。
そのあと、ハトホルがやってきて笑ったあとも、「しゃんとして(dwn=のばす、まっすぐする、立ち上がるとか意味っぽい)」座る、とあるので、
場所を移動してなさそう…。
たぶん肝はこの「sH」の訳し方だと思うんですよ…。
あずまや、とか訳もあって、それが天蓋みたいなやつだったら、布が垂れてるかもで、隠れてるかもしれない、みたいな想像をしていたよ! でもわからないよ!! ホール(会議してたとこ、その場)の可能性が高い気がして、するととても開放的なイメージだが!??!? 隠れてはいないな!?
ただこの、ハトホルの行為が、「男神の創造力をかきたてるための」女神の仕事を表しているとしたら(て説があった気がする)、ラーは悪口を言われて「活力を失った」状態で、ハトホルによってそれを「取り戻した」わけなので、
太陽の光のエネルギーが弱まった=日食、という説が成り立たないわけでもないかもみたいな(弱いなー)。
ま、まあ、勉強にはなりましたよ。ちょっとだけね…。
訳について
pry r-bnr がずっとよく分からず、悩んでた…けど見つけた!(r bw=n r-wAとかにしちゃってたよ…意味わかんなかったよ)
ほぼ同じまとまりで二回出てくるんですが、神話集成は一度目が「解散して」、二度目は「消え失せてしまえ」(こちらはn=kがあいだに入って命令口調なのは理解)となっていて…「??」でしたよ。
結局、bnr「外側」という単語が見えたのでどうにか。うしろ決定詞じゃんみたいな…。
そういえば、神話集成の方は二回目の、ババイに向かって怒って言うところが、ラー・ホルアクティのセリフになってるようで、どうしてそうなるのかな…? でもちょっとした間違いで、この訳であっていれば、あとの流れもつじつまが合うかなと思ったり。
一部しかやってないのであれですが…。
ヒエラティック見ててここはどうしてこれにしないのか?と思うとこちょこちょこあって、確認して変えたりしたけど(他のとこさがしたら同じにしてるとこもあった)…、
ババイのやつバアバアて言ってるのになんでpAを入れるのか分からない。bAも似た感じなのになと…いや理由があるのかも。
そのババイのとこなんですが、名前のあと神竿の決定詞来てまた「pA nTr」とあるのすごく分からないナンデ?? the god!てわざわざ言わないといけないの?みたいな…。推測だけどババイだけだとよくない立場のものもあるから、ここでは神さまの一柱なんだよって言いたいのかな?
一応訳したけど、「神ババイに向かって~」てなんかババイがラーよりえらいひとみたいに感じちゃうw…うまい言い方ないものか。
後ろの方、前にやったけど、こんなんだっけ…?とおもったら、
前はヒエログリフで出されてたし、よく見ると、肝心な(?)ところの単語を変えていますね。
まあ、その後も違う文が来ていたし、学習用に作ったんですよね。
ヒエラティックのHrはけっこうまだ慣れてなくて…それでハトホルの表記がこれなのちょっと珍しいし、ヒエラティックだと気づきにくかったかもなあとか。
そう、なんかいつもヒエログリフと合わせてみようと思っても結構みにくいので、形を(無理やり)合わせてみたよ。こうしたほうがどこの文字がどれらのか分かりやすいよね。ただヒエログリフだけ見てるとごちゃごちゃしていやな感じwなので、こうして並べるときにしか役に立たないですね。
べつにただの趣味だから何でもいいんだけど、ヒエラティック読めるとなんか嬉しいので、機会があればまたやりたいです。まだこのやつで半分も読めないからなあ(ほとんどラーホルアクティとか同じのの繰り返しなのにw)…。
でも前もどこかに書いたけど、単語入ってないと無理だよね…。そりゃさすがに厳しいw
これはあれ、内容をだいたい知っているし、訳が手元にあるからちょっとやり易くて。でも半分ですよ。そんなかんたんにできるわけがないw でももうちょっと頑張れそう。