小学生のころ、ブラックコブラ退治を目にしたときから
あたいのヘアゴムはブラックコブラになったんだよ……。
ていうか黒いヘビ可愛いけど
古代エジプトの蛇さんのかわいさってすごくないです?
コブラもきれいだけど、そうじゃないほうの。ていうか黒いやつよ、黒いやつ。
ブラックだけどコブラじゃないよ???
ファンクラブつくろうかな・・・。
最近見れば見るほどうっとりしちゃうアムドゥアトの書の彼。
The Egyptian Amduat: The Book of the Hidden Chamber p368(第12時)
Erik Hornung, Theodor Abt
Living Human Heritage Publications
目の下の三本線が可愛い。
太いので印象的だよね。可愛いのは他のもかわいいんだけども。
名前は何だろう? 前に書いてるやつかな?
…と思って、読もうとしたですよ。
kA n anx nTrw カー・エン・アンク・ネチェル
ほうほう…とかおもって。
でもこの本(エリック・ホルヌングのアムドゥアトの本)の該当部分を見ると
kA ny di anx nTrw
と、
文になっていて。
「神々が生命を与えるもののカー」
という意味なんですね…。
(つまり、前腕のヒエログリフ【D36】をanxのaだと思って読んでしまったけど、これは【D37】としてとらえるというわけですね。たしかに、D37のように、手の上に△が乗ってない、D36みたいに書いてあるけど、文の中ではD37として扱うことがけっこうある。そして、アンクのaだけ上に出して書くような例はあんま見ないかも…)
ちなみに名前は上の文にあって(左から読むです)
sSmw(イメージ) StA(秘密の) n(~の) anx-nTrw「アンクネチェルウ」。
神々を生かすもの。的な意味かな。蛇の決定詞があるので、この蛇の名前なんだと分かるです。
(追記)この図の周りにはこういう記述しかないんだけど、この時間のまとめみたいな文章の中に、彼の名前が明確に出てきます。(rn n ~(~の名前で)という文章で書かれてるので)
「ナアウ naw」(スムーズな者)
神をスムーズに産みだすように、との事。
(なのでアンクネチェルウは、名前というより、この蛇がそういうものだという説明なんでしょうね)
この蛇さん、むちゃくちゃ重要な蛇さんだということが分かったので追記。
この図は、蛇の後ろに太陽船があって、とりまきたちと一緒に太陽神ラー様が乗ってるんですが(そして「尊敬されしもの」である死者も、同乗してるらしい)、
尻尾からこの蛇さんの中に入り込み、口から出てくるらしい。
そしてそれは、
「若返り」である、と考えられてるもよう。
いやそう書いてあるんだけど、
どういうことかよくわかってなくて。尻尾から蛇の中に入るとか。意味不明すぎて(笑)。
でも今やっと。三度示されてやっとわかったよ。
ふつうは、尻尾っていうか、おしりっていうか股の間っていうか、から生まれるじゃないですか。そうして歳をとっていって、死ぬ、と。
太陽の場合、死ぬ=沈む=天の女神ヌウトの口に飲まれる。
それが、ここでは
逆に「尻尾から入って」「口から出る」ことによって、「若返る」。
時間が逆行するんだ、と。なるほど―――そういう意図があったのか――。
古代エジプトの「蛇」のイメージって
決して「悪」ではないというか、
善悪わかれる以前の生き物だというか…。
混沌に属してるというか、宇宙的というか、無限というか、区切りがないというか。
だから冥界にはいっぱいいるんですね。
時間を表現する時にもこうして使われるんですねえ。
言葉でもそうですが
具体的なことで表しながら、抽象概念を説明してる感じ。
気づくと楽しいけど、気づかないとわけが分からないーー><
と、いうことで、「意味深な」蛇さんたちのふしぎな姿を見ていきましょうか!
**
彼なんかどうですかね。
その名もズバリ!
「顔のたくさんあるもの」aSA-Hrwアシャアヘルウ (同p200 第6時)
この蛇さんを説明する文に、
sd=f m rA=f 「彼の尻尾は彼の口の中にある」(上の右端に書いてる。文は左から読む)
と書いてますねー。そういう蛇さんいっぱいいるけど、説明で見たの初めて。ほんとに尻尾くわえてるんだね。
ちなみに真ん中のケプリ神の肉体を守っているそうです。
あと、これとか好きなんですがどう?
名前は
「大地をとりまくもの」mHn-tAメヘンタア
(同p340 第11時)
ながいながいながい!!!! すごいですねーーー。私も頭に乗っけたい。
メヘンタアは、こういうふうにも描かれてます。
(同p266 第8時)
二回も出てくるので存在感がある蛇さんですね。お偉い蛇さんなのよ。長いし。
それから、これは印象深い図の一つと思う(本の表紙にもある)やつ
名前は…本には
「眺めるもの」ptryペテリイって書いてます。
(同p331 第11時)
上の、両目が、名前なのだという感じですか。
羽が生えてて、足が4つあるのが特徴。すごい特徴的。(真ん中の二本は後ろに立ってる人物の足です!)
説明を読むと、蛇さんが本体でですね、うしろに立つ神は
アトゥムなんだけど、呼ぶとあらわれる「影」みたいなものらしい。スタンドか……。
あと、これに似たのが前にも出てて、
(同p168 第5時)
これはでも、
足が無いのと、うしろの神様は「彼の砂の上のもの」
ソカル。(第5時は、冥界の底という感じ。この区域全体が、ロスタウで、ソカルの領域。砂の下のイメージかな…)
左右に頭があって、左には、彼の口への風で日々生きる、とあって、右には、このイメージ(姿)を守っている、みたいに説明が。
「色とりどりの羽毛を広げる偉大な神」nTr-aA, wpiw dnHwy sAb-Swty
この楕円形、外側の左右にアケルの頭があって、さらに守られてるんですよ。だいじ。
その前にもあった
(同p121 第4時)
これも「偉大な神」で、「彼の両翼による風で生きる、彼の死骸と頭部」とあります。
翼が生えてる蛇さんは、太陽神の影みたいなものなのかも…。
あとこういうのも
神様が乗ってる蛇さんシリーズ。
(同p226 第7時)
乗ってるのはアトゥム。蛇の名前は
「くみたてる者」sAqwサアクウ
大地にしっかりと立たせてくれる蛇さんらしい。私も乗ってお散歩したい…。
(同p332 第11時)
乗ってるのは「永遠の時」Dtジェトの擬人化(女神です)。
蛇の名前は
「時を遠ざけるもの」Sdy-wnwtシュディウェヌウト
飛んでますね…お空を。私も飛びたい、蛇の背にのって。
ドゥアトらしい感じの
人の頭が背からいっぱい出てる蛇さん
(同p206 第6時)
なんと、出てる頭はホルスの息子たちのものだそうですよ!
なので
この蛇さんも大神(ラー)の埋葬に関係していて、ホルスの4人の息子によって(内臓が)守られてるのを示すのではないか、と書いてます。思ったより深かったぞ…。
↓
門の書のほうに、これが拡大されてるようなもの(頭はいっぱいあって、ホルスの息子とは書いてないけど)が出てきますが、そこではこの蛇は、この頭を飲み込んだ者で、アポピスらしく、この頭は「飲み込んだ者を飲み込むもの」とややこしい呼び方されてます。
つまり、この蛇が頭を飲み込む悪い敵で、しかしラー神の呼びかけに応じて蛇の体内から(蛇に飲み込まれていた)頭が現れ、この蛇を逆に飲み込んでやる、ということらしい。まじかー
アムドゥアトにも「大神の声を聴くたびとぐろの中のものが(出てきて)呼吸する」「影を飲み込み敵の姿を一掃する」そして「大神にはその姿は見られない」(これは頭のことかも?)とあり、蛇の前に「amw-irw」「姿を飲み込むもの」とある。どっちの名前だろうか分らんけど。
蛇の前に書いてるから蛇の名前と思ったし、蛇もいいやつかと思ったんだけどな。門の書と役割が違ったらすみません。でも同じようなかんじするなー…。
そして最後はこれ
のびあがる蛇さん。
(同p170 第5時)
最後に相応しいと思うんですよ。なんかよくいませんか。
名前が
nTr-anxネチェルアンクとあります。なんか最初のと似てますね。複数形じゃないですが。
「彼はやってきて、去りゆき、通り過ぎそしてドアをひらく」みたいな説明があるよ。この空間の外に出る扉がうしろにあるよ。他の文献にも出るのかも。
さあ、どの蛇さんがお好みですか…??