古本屋で買ってた、30ン年前の山口でのエジ展の図録見てて
鈴木八司氏の監修だったのだけど
こっちのほうが(今回の図録より)説明が多くて、展覧会の内容もパピルス等文書が比較的多めで、
そのうえ図録にその内容や訳をサラッとでも書いてくれてるので
見てて楽しい。(私の趣味に合ってて)
今回のは文書とか銘の訳がほとんどなかったから…。(まあかなりの文が「王による供物」構文だったけど)
で、
この昔の図録の中に、アムドゥアトを描いてるパピルスがあって。
船の中の神々の紹介あたりを訳してくれてるんですけど
左から
(エジ語表記)→ 図録訳 →エリック・ホルヌング訳
①xrp-wiA→舵取り →船の案内人
②Hw →漕ぎ手 →フウ(発話)
③nhs →掛け声掛け →警戒するもの
④kA-mAat →真理の牛 →カーマアト(真理の牛)
⑤Hr-Hknw→讃美者ホルス →芳香のホルス
⑥mHn →とり囲む女乗員→メヘン(の蛇)
⑦nbt-wiA →帆船の持ち主 →船の女主
⑧siA →黙契者 →シア(認識)
⑨wp-wAwt→先導者 →ウプウアウト(道を開くもの)
てなってたんですよ。
まず⑧の「黙契者」の意味が分からなくてそこから入ったんですが
えーと黙契は「無言のうちに合意が成り立つこと」らしいよ。へえ…。
シアは「認識力」という感じなので、ある意味そういう性質もあるのかも。別の視点から見るの面白いなあとおもって。
でも②のフウは、シアとよくセットで言われる「王の備えるべき資質」のひとつ、「発話力」の擬人化であろうという方が説得力がある。30年前ははっきりしなかったのかも。
で、⑤なんですが
Hknwには「歓喜する・称賛する」の意味もありつつ「聖なるオイル」の意味もあるので
どっちだろう??みたいな。他の例(表記)見たらわかるかも…。
③のnhsがこれまた何かよくわからん。ホルヌングはvigilamteて書いてる。じぶんの英訳も怪しい。
辞書にはnhsi「wake(目覚める、起こす)」かnhs「カバ」しかない。なんだろ…。
⑥のメヘンは「とり囲むもの」でそのまま問題ないけど、女だったのかなみたいな?? どこでそう判断できるのかがわかりません…tはついてないけど…。
・・・て感じで、あとはだいたい同じ。というかそれ以外がかぶってるからどこを訳してるか分かったんですけどw
今回も来てた末期王朝時代のやつで
珍しくヒエラティックでもデモティックでもなくヒエログリフっぽいのがあったので
読めたら。と思ってたんだけど
この図録に「意味が取れないものが含まれている」とちゃんと書いててくれて(ていうか今回の図録にはほんま説明がない)
そっか、無駄な苦労はせんとこ……と思った(笑)。