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古代エジプトのこと

古代エジプト関連限定ブログです! 宗教思想関連多め

門の書とアムドゥアト第6時「頭が出てくるヘビ」

冥界文書の一部に
蛇の胴体から頭が複数出てる図がありまして。
 アムドゥアトがこれ(KV15 セティ2世王墓 このサイトから

 門の書がこれ(KV35 アメンヘテプ2世王墓 このサイトから

 どちらも第6時なんですが、似てるだけなのか、同じものなのか気になっています。

 アムドゥアトのは、頭が四つで、この例ではホルスの息子たちの名前が書いてあります。
 門の書では、頭はもっといっぱいあるのでホルスの息子ではないようすで、また、蛇は神々に捕まれてます。
 ・・・と、違いはあるんですが、似てる部分もあって。

 ちょっと、書かれた内容を訳しながら確認してみます。いずれもホルヌンクの訳を参考にしました。

***
●門の書(右から)

wnw nik=sn Dwy-Hr srx=sn xftyw nw ra
邪悪な顔のものを罰する者たち、ラー神の敵どもを倒す者たち。
ntsn nDr sbi ddw pr tp imyw=f
彼らこそは反逆者をつかむ者、その中にある頭を出させる者たちである。
《Dd》 in 《Ra》 n=sn
《ラー神》によって彼ら(蛇をつかむ神々)に《話すこと》:
Hm n=Tn sbi xt n=Tn Aapp pr tpw imyw=f sk=f Dw
「汝らがため撃退せよ、反逆者を。汝らがため追い返せ、アポピスを。彼の中から頭が出てくるように、邪悪な彼を滅ぼすために。
i n=sn Htm=f 
私が彼ら(頭たち)に声をかければ、彼(アポピス)は死ぬのだ」
i tpw am n=Tn am.n=Tn qq=Tn pr.n=Tn im=f Dw
「おお頭たちよ、汝らがため飲み込め、汝らを飲み込んだ者を。汝らがその中から出てきた者、邪悪な彼を食べるために!」

i ra r=sn pr=sn am xr=s sn qAbw=s r app=f Hr=sn 
ラーが彼ら(頭たち)へ声をかけると、彼らはそのもとでそれら(蛇腹?ヘビの体のうねうね)を飲み込むためその蛇腹から出てくる、彼(ラー)が彼らの上を通り過ぎるために。
aq xr tpw m qAbw=sn m-xt
そのあと頭たちはそれらの蛇腹の中に入る。
iwty ir.wy n HfAw pn iwty fnD=f iwty anx.wy=fy
そのヘビには両目がなく、鼻がなく、両耳もない。
srx=f m hmhmt=f anx=f m Dwi=f Ds=f
彼は彼の咆哮によって呼吸し、彼自身の呼びかけによって生きる。

Awt=sn m Htp tp tA xft ra pr=f m dwAt
彼らの贈り物はラー神の前で彼が冥界を出てくるときに無事である。
iw wdn=sn m aHa xr imw
彼らに捧げものをする者は《誰でも》、木々の下に立つ者(神)となる。

●アムドゥアト(右から。画像はKV34 トトメス三世王墓より)
iwty mAA sw nTr aA
大いなる神が見ることのない者。
srq nn n imy(w) qAbw=f sDm=sn xrw nTrw pn aA ra-nb
これらのとぐろ(蛇腹)の中のものは呼吸する、彼らが毎日大いなるこの神の声を聞くときに。
irt=f pw m dwAt:
彼が冥界でするべきこと:
sXb Swt axm irw xftyw sxrw m dwAt
影を飲み込み、姿を滅ぼす。冥界で倒される敵たちの。
***

 なんか、似てませんか。
 蛇の中から出てくる頭が、「敵を飲み込む」というところとか、
 ラー神が呼びかけると、頭たちが「呼吸する(アムドゥアト)」「出てくる(門の書)」とか。
 たぶん、頭はいつもヘビの中にいて、ラー神が近くを通って呼んだら、呼吸のため出てくる(アムドゥアトは、ラー神が近づいてきたら地下の領域が活性化し、ラー神が通り過ぎたらまた元の不活性に戻るみたいな表現がくり返される)。そして門の書にある通り、通り過ぎたら、またヘビの中に入るんですよ、この頭きっと。

 アムドゥアトの図、蛇の前にaxm irw「姿を滅ぼすもの」ってあって、説明を読むと、敵を滅ぼす役割なんですよね。
 それが、この蛇のことだと思ってたんですよ。まだそうじゃないとはっきり言えないけど。
 でもじゃあ、説明の始めの「大神が見ることのないもの」は何か?
 あの頭かなと思ってたんですけどね、アムドゥアトだけ読んでた時は。
 ホルヌンクも説明に、「内臓を守るホルスの息子たちが体内にいる=この蛇は守られている」かもとか書いてるし、そうか、いい蛇さんなのかもと。

 でも、
 ラー神の呼びかけによって呼吸するこの頭は、つまり、呼びかけると出てくる=ラー神に見えるよね。
 それで、敵の影を飲み込む、姿を滅ぼすとあるけど、
 『門の書』と同じなら、それは、この蛇「彼らを飲み込んでいたもの」を、逆に飲み込んでやるということになるのかも。
 そして、だから、大神にはこの蛇の「姿が見えない」ことになるのでは。

 アムドゥアトは説明が少なすぎるんだけど、
 のちの『門の書』がそれを補っているとしたら、
 この頭たちはこの蛇=アポピスに飲み込まれたんだけど、大神が呼びかけると力を取り戻して、蛇の身体から頭を出し、逆にアポピスを飲み込む。
 そうして大神はアポピスを「見ないで」通り過ぎることができ、脅威を避けられる。
 で、大神が過ぎ去ったあとは、彼らはまたこの蛇に入っていく(飲み込まれる)、と。

 門の書では、頭が蛇から出てくるのを助ける神々が描かれているという違いはありますが…。

 ホルスの息子説はどうなったのかとか。
 蛇の前にあるアンクは何なのかとか。
 まだ引っかかる部分はあるので、同じだ!と断定するには早すぎますが。
 よくにているな~~~とおもいました。まる。

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あやめ
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 古代エジプトについて趣味でいろいろ。
 ド素人が楽しくやってるだけのブログ。間違いもいっぱいあります。気付いたら直します。ご指摘感謝です。
 エジプト語読んでみる、とか書いてますが、ほとんどは訳を参考に、元の表現を確認しているだけ。文法がふわふわ。
 気が向いたときやるかも、みたいな。

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