アニのパピルスにいろんなバージョンがあって(本物はどれ!?)
混乱していたところ、
以下のような違いがあるということを教えていただきました。
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・複写(copy)
見た通りをそのまま写し取ること。傷や汚れもそのままにしたもの。
・模写(facsimile)
専門家が、傷や汚れを省き、判然としないものを補い、必要な情報を加えながらかきだしたもの。
(写真などではわからない表面の様子などもかきだす、とのこと)
・複製(replica)
主に物について、元のものそっくりに作ること。壁画なども含む。
(ツタンカーメンのレプリカ墓など)
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これらについては
廣田吉三郎氏(2012年のツタンカーメン展の監修などを手掛けられた方です)にご教示いただきました!
毎日仕事で石器の実測図を描いているんですが、これは形やサイズを正確に記録し製作工程が解るように情報を整理した観察図でして、決して写生図ではないのです。その意味で前述した「模写」に相当します。よって単なる画家には出来ないのです。石器が分かる考古屋の仕事なのです。
と、具体的に教えてくださいました。ありがとうございます!
(ここで教えていただいたものは、
考古学やエジプト研究の中で使われる場合の考え方で、一般的ではないかもしれない。ということです。気を付けなくては…)
エジプト展の図録などをみていると、
たまにfacsimile(複製)と書いてあったりしますね…。これは実際複製を印刷か何かで作った、というような意味なのではないかなと思います。
自分が持ってる社会思想社出版/矢島文夫著『死者の書』も、模写(復元かも…)のものを使っている様子です。色が鮮やかすぎますし、webで見るものと感じが違うので、すぐにそれとわかります。
見ているとたまに、文字の間違えがあったりして(古代の書記も間違えるし、人間なので避けられないと思いますが…)、原文をきちんと確認――と言ってもweb上の画像でしかできませんが――しなきゃいけないし、信用しづらいなあと思っていました。
けれど、古代の顔料は色によって光を当てると色あせるものがいくつかあるため、元はどのようなものだったのかを再現するとしたら
模写しかありませんし(元のようすがどうだったかを《色の経年劣化を考慮に入れて》再現することは、「復元」と言い、模写とはまた違う、と教えていただきました。ありがとうございます!)、また上述の通り、写真ではわかりづらいところを読み取って意図的に補う、というのは大事なことですよね。肉眼では違うふうに見えるのに、ということ、絵ではよくあるので…(笑)。写真は万能ではないですね、確かに…。
こういう話を伺うことで初めて、そういうものに携わる人がいるんだということがはっきり感じられるようになった気がします。たしかに、それなりの知識がないと、ヒエログリフの書き取りは難しいと思いますよね。意外に見たもの100%ってことはなくて、解釈がどうしても入ってしまうから…。あれ、この字はこうはならないぞ?ってことになっちゃう。
さてアニのパピルスはやっぱり
大英博物館のサイトで見られるものが原本、ということでいいのじゃないかな、と思います。
これを基準に、比較して考えるのがいいかな?
web状ではあまり厳密な表記をしていないようすなので(仕方がないことだとは思います)、原本と比べて確認したらいいのかな、と思いました。気を付けよう。