ナイル賛歌の第一節をやってみようと思います!みじかいけど!
経緯→(何でか忘れたけど)日本語版wikiにナイル賛歌を発見→セブってなに><→UCLのみたらゲブだったスッキリ…しかし全然訳が違うっぽい。この転写と英訳から日本語にしてみようかな→神話集成になったわ…。でもこの単語って元はどんな字なんだろ→(原典確認)あれ…なんか転写と違うくない…?原典:
サリエ・パピルスⅡ(シート11,6行目~)EA10182 アナスタシ・パピルスⅦ(シート4,7行目~) チェスタービティ・パピルスⅤ(表シート1)EA10685ぜんぶ大英です。ほかにもあるっぽいけどこれくらいで許してほしい。(
UCLのはオストラコンかららしいので、これらと違うのは当たり前か…)
基本サリエ・パピルスで、ちょっと他で補いつつ、ヒエログリフ転写します。
(訳とか転写の例をあまり見つけられなかったのでちょっとよくわかりませんが…UCLのとか参考に)
※この色の字は、原典のヒエラティックには書かれていない(けど、あるはずの)もの。
ヒエラティックにならって、ヒエログリフ転写は右から左にしています。
また、上の赤点に従って改行しています。
dwA hapy
ハピを崇拝すること
inD-Hr=k Hapy
ハピよあなたに万歳!
pr m tA iy
大地より出でてやって来るもの、
r sanx kmt
エジプトを生かさんがために。
imn sSmw kkwy m hrw
日中は暗がりにある、(その)性質隠せるもの。
Hs nw sSmw
それらの性質を称えん。
※(sSmwはSmaw「楽師」の間違いではないか、と書いてました。「楽師それらを称えん(歌わん)」) iwHy SAw qmAw ra
ラーに創られし土地を潤すもの、
r sanx ib nb
すべての仔ヤギ
※を生かさんがために。
(ib「仔ヤギ」は「喉が渇いた人」との意味もあり、かけているかも) sswr xAst bw tm
砂漠のあらゆる
※場所(人々?)に飲み水を与えるもの。
(赤〇は転写が違うかも。うしろがmだしtmの橇っぽいかなと思ったけれど、ヒエラティックの一覧に同じ形が見られず。U16でbiA「空」かとも思ったけれど、そう取ってるところはなさそうだった。U16はヒエラティックの例がひとつもないし。ここで切るなら後ろのmがおかしくなるし?) wAw pn pt hAyt
この落とさるるもの、降り来る天※。(おそらく雨のこと。wAを「遠くの」と訳されているものもあるが、語順が違ったりして分からず。wAw「波」などの意味もあるし…「落ちる、そうなる」みたいな意味もあるっぽいのでその辺かなと…。HAyも「落ちる・落とす」の意味があって、うーんわからない)
mr.tw gb xrpw npri
ゲブに愛され
※、ネプリを統べ、
(基本twは受動態で訳されていますが、素直に「ゲブのパンを愛し、」と訳しているものも。ゲブ(大地神)なのでパンでも違和感がないという…。でもネプリのと並列の文になると思うと、パンじゃない方がしっくり) swAD Hmt nbt (nt) ptH
プタハのすべての工房を栄えしむるもの。
***
途中の語の並びや単語、文の区切もモノによって変わるみたいで…。
このバージョン(Pサリエ)を細かくやってるものの解説を探せなかったので
こんな短い文でも分からないままですが…。
特に、赤〇つけてる文とそのあとの、wAwtとかあるやつ。
ヒエラティックっていうか新エジプト語、読まないけど書いてるもの(tとか)もあるみたいでそこも難しいし…
神話集成にある「露」のヒエログリフを確認したかったんですが。
UCLのがidtで、香とか甘味とか意味みたいだったんですけど、
今回参照したPサリエでは、その単語がないみたいで。
三人称単数(男性)fとかpwとかそういうのも全然ないじゃんみたいな…。
idt=f pw hA m ptって 語順すら違う。しかもdueて訳してる。なんだろ。
wAwが前の文に入ってるし…。神話集成の訳はこれを見るとけっこうぴったりな感じなので、同じものを参考にしているのかも…。
でも、こう区切ってこの語順になると、どうなるんだろう。
ものによって意味がだいぶ変わる、とはいえ、言いたいことは近くなるのではないか、
ハピ神を称える、という軸やその性質まで変わったりしないのではないか、と思うんだけど。
(聞きながら書き取ることが多いのか、音が近いけど意味が違う単語、とかあったり、でもその後で意味が通る内容にまとめてる事とかある感じするんだけど…。普通に間違うこともあるみたいでうーん)
あとsSmは「姿image」って訳すのがすっと出るけど(アムドゥアトがそうだったし神話集成もそうしてる)
でもフォークナーの辞書に載ってる…? 綴り違いかな。nature性質だとおかしいかな….。
とりあえず、
神話集成にあった訳の細かいニュアンスが分かった(気になってる)感じで楽しみました。
言葉をかけてる感じが見つかるとすごく楽しいです。
(Pサリエでib「仔ヤギ」のところ、UCLのはawt「小家畜、動物」とあって、ラーの創りだした土地(放牧地)に神が育てる「小家畜」だから、つまり人間ってニュアンス込めてるだろうなあとか)(awtはSpst「高貴な」がつくと「=人間」て意味になる様子)
エジプト語で読む意味がすごくあると思うとこw
ここまでやってみると、
訳が全然違う!とか言ってたwikiのやつ(の
元の英語版)が、どうしてああなったのか、ちょっとわかったり。
自分には間違いとかそういうのわかんないですが。区切りが違うんだとか、ここを続けて一文にしてるんだとか。
(日本語訳のほうは、ネプリ(ネペラ)=穀物神と分かれば、「最初の果実」を「初穂」としてくれるはず…。)
ていうかこれこそPサリエから訳出しようとしてるよねと思って。ちょっと古い本のを写してるみたいですが(その本のコピー見てみたけど解説がない)
wAwtを「道」って訳してるもんね。それで通るならこんなに悩まんのよ・・・。どうしたらええん・・・。