ジェドプタハイウエフアンクの「神話パピルス」 この「ジェドプタハイウエフアンクDd ptH iw=f anx」って、あのメジェド様で沸いた「グリーンフィールドパピルス」の所有者、ネシタネベトイシェルウの、旦那さんかもって話らしいよ!
ジェドプタハ言う=f「アンク!」…って変換したくなるような名前。意味は「プタハ神は言った、『彼は生きる』と」って感じでしょうか…? このパターン、神様の名前を変えていろいろあるので、自分の好きなのを作れそう。いいよね。
神話パピルス。って
なんだその名前。って思ってました。死者の書もそれなのか、みたいな。
でも違うみたい。死者の書は死者の書。神話パピルスは、そういう「書」がひとつじゃないっぽい感じ。なんか、いろんな宗教的な書を
寄せ集めてるみたい。
スペース(と制作時間)が限られてる「けど、あやかりたい!」・・・みたいなのが透けて見える感じ。後代の、第三中間期あたりから出だしたもので、新王国時代初めにはなかった。はず。
だってそもそも、アムドゥアトが新王国の途中から出だして、でも他の、門の書とかはアマルナ後の進化系みたいなもんらしいんだよね。併存してるけど。
個人的には、王族のための「秘密(の教義)」が流出したので、王族が教義を発展させて対応したとのではと…。(しかしイタチごっこというね)
いやしらんけど。
さて、なんか盛り上がってここ訳してみようみたいになったので
やってみたんです。
まず右側の、神様に礼拝してるやつ。
初めは
赤で囲ってある部分、左に座ってる神様の名前とエピセット(形容辞)。
これは右から左へ読む。神様のほうに向かって進む文。
Dd-mdw in ptH-skr-wsir nb itrt(?) プタハ・ソカル・オシリス、至聖所(?)の主によって話される言葉。 ここまで読んでから、左から三行目に続く。(まだ反対向きですけどね…神が与えるから、死者のほう向いてるのかな。こういうのよくある感)
(なんでこの順番と分かるかというと、向きを変えない状態で書かれた同じような文がたくさんあるので、「普通こう読む」が分かってるのです…)di=f xt nb(t) wabt nfrt 「彼が清き善きものすべてを与える。 次、四行目からは右に向かって読み、これが死者についての説明。
n wsir Axt pw Hm nTr 3 nw n Imn-ra nswt nTrw オシリス(死者)、有益なるもの、神々の王アメン・ラーの第3神官へ
sA nswt n ra-ms(.sw) aA ラーメス(スウ)アア王(?)の息子
Hsw Dd-ptH-iw=f-anx maA xrw 歌い手 ジェドプタハイウエフアンク 声正しき者」 はじめの、プタハソカルオシリスのエピセット、ネブなんとかのところ、(?)としてまして、はっきりわからないんですが、たぶんO20かなって思ったです。それで最後tがつく単語はこれくらいかと。でも知らないエピセットです。ありそうだけど…(知らないのいっぱいあるしね!)。
あとソカルの綴り順番違いますね。こうつづることもあるのね…。
王様の名前、「大ラムセス=ラムセス2世」の可能性ありそうと思うけど、年代的に息子ではありえない感じで・・・なので、sAは息子ってより子孫的な意味があったりして? まあそういう名前の王様がいたのかも、しれないですが…第三中間期だしね。
右から二行目の初め、
紫の○をしている部分、なんか見たことあるけど何だっけ…と思ってたんですが、Hsw「歌手/歌い手」であってますかね!??!? 今なんかそうかなって…。
あと最後の、マアケルウの前に何やら多めに書いてあるようで、これがよくわかりません。なんか適当にやっちゃったのか、意味があるのか…??
次、左のほうにズズイと行ってみましょう。
これ、読み方がすごい特殊だって、やっと気づいた…。(なので修正しました10/12)
ホルヌンクのアムドゥアトを参考に、順番に並べてみると、こうです↓
①Htp in n nTr pn aA m qrrt tn n pHwy kkw smAw 大いなるこの神陛下はこの洞窟「統合された闇の終わり」に到着する
②msstw nTr pn aA m xprw n xpr r xrrt tn 大いなるこの神はこの洞窟からケプリ神の姿で産み出される
③xpr Nw HHwt r qrrt tn r mswt nTr pn aA ヌンとヘフウトは大いなるこの神を産むことのためにこの洞窟から出てくる
④pr=f m dwAt Htp=f m manDt xa=f m iHwty nwt
rn nt~ 彼はドゥアトを出で、昼の船にのり、ヌウトの両腿から現れる。
~の名は・・・
***
この番号の文がどこにあるか、上の図を見てやってください。
大変なことになっています。
一番初めの文になるはずものが左端、一番最後の文になるはずのものが右端に来ていて、
真ん中に、「セマアウ(統合)」の文字があります。
これ自体は、中途半端に終わった感じのする第一の文の、一番最後に来るべきものですが
呪文の書らしく、凝った配置にしているのですね…。
むっちゃ悩んだわ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
ホルヌンクの訳本がなかったら絶対わからんかったし! 実際違うこと訳してたし!
ええそうなんです。
ずっと、左から読んでいて(だって右上はY1ですよね…)、
この右端の行の一番下の、縦棒2本みたいな文字が分からなくて悩んでいました。
右から二行目の一番上に、「両大腿」iHwtyがあるんですが(あの独特な2匹の魚みたいなやつで判読)、
左から読むと、iHが欠けてますよね。
もしかしてと思って右から読んでみると、ちょうど右端の下のあれがiHに見えるじゃないですか!!!
そのまま左←右で読んでいくと、意外にはまる。ていうか、それまで、「簡易版(ショートバージョン)」と近いけど違うな、と思ってたのが、けっこう文がそっくりに。
ただ、反対なんですよ。左から読んだほうが順番に沿ってる。
でも、字の区切がおかしい、と。
いやー気付いたときは気持ちよかったあ…。
こんなの謎解きゲームじゃなくて何なのか。
すげーたのしー(でもまだどこか間違ってるかも…)
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しかしこんな状態でも、やれば知らない単語が入るので
無意味とは思わないんだよなあ…。しかも宗教思想関連は幅広いから少しでも入れたいじゃん。
iHty nwtなんかまったく知らないもんな。こういう書き方の単語があって、こういう使い方するんだ、って入れとくだけでも大きいよね…。