古代エジプト関連限定ブログです! 宗教思想関連多め
●運命と宿命の神シャイ
http://www.touregypt.net/featurestories/shai.htm
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シャイShai (Shay, Schai, Schay) は、
古代エジプトの「運命の神」です。
彼は神であり、
また神性を擬人化されることもありました。(古代エジプト人はこの神性がそれぞれと「同時に」誕生すると信じていた)
新王国時代に、彼は『死者の書』に現れ、マアトの審判の間に見られます。
彼はこの世に現れる、またあの世に再生することに関する神だったのです。
「シャイ」という名前の意味はは、
古代エジプト語「シャ」・・・「任ずる」または「命令する」から来ており、
「シャイ」は「範囲・限度」また「体積・量」を表す可能性があります。
「範囲」(長さ)に関連付けられ、彼は人生(の長さ)を割り当てる神と考えられました。
この神の名の別訳では、「命ずる者」となるかもしれません。
こうして、古代エジプトの人々はこの神が、「運命」や「宿命」または人の「運」にまで関係する神だと考えたのです。
トルコの世界で言うkismetが、シャイ神の性質に最も近いかもしれません。
シャイは第18王朝あたりに始めて登場し、
その後も信仰され、アクエンアテンの治世下でさえも続いていました。
ときに「シャイト」とされ、男神ではなく女神として表されます。
彼はしばしば三人の特定の女神たちと共に表されます。
メスケネト―誕生レンガと宿命の女神、
レネヌテト―子供に真の名を与える女神、
シェプスト―カバの姿の出産の女神。
彼は男性、コブラまたは蛇、人頭の誕生レンガとしても表されますが、
葬祭パピルスで最もよく見られ、彼の女性のパートナーの近くにいます。
運命と宿命の神として、かれは幸運にも悪運にも捉えられました。
彼が個人を守ることもあれば、不幸をもたらすこともあったのです。
彼は両極の神性をもっており、
古代エジプト人は、彼が生まれた瞬間から来世の審判まで個人についているものだと考えました。
心臓の測量の場での彼の存在は、その死者の助けにも、邪魔にもなりました。
また法廷で死者自身の人生に何が起こったかを伝える公平な一員にもなりました。
しかし、メスケネトやレネヌテトは個人を来世に復活する手助けをするためにあり、
シャイもまた、死者に不当な証人となるよりむしろ、彼女たちと似たような保護の目的であったかもしれません。
古代エジプトの面白い挨拶のひとつに、以下のようなものがあります。
「シャイとレネヌテトがあなたの側にあります(ように?)」
シャイはもともと人に起こるべきことを「命じる」神性を表しました。
そしてレネヌテトは、ピラミッド・テキストに多く見られるように、豊かさや幸運などの女神であったかもしれません。
その後、この二人の神性と表す抽象的な考えについては、とくに区別されませんでした。
けれど、このシャイ神と争わなくてはならないのは、死にゆく人だけではありませんでした。
彼とレネヌテトはトトの手の中にいると信じられていました。
彼の神性を強調するために、ラムセス二世は「シャイの主とレネヌテトの作者」であると主張しました。
イペト-イスト(カルナク)にあるオペト際の神殿では、彼は「すべての神のシャイ(すべての神の運命がまたシャイの手中にあるように思える)」として言及されています。
アメンエムオペの教訓において筆者は、シャイを無視できるものはいないことをほのめかしています。
アクエンアテンは「アテンは人生を与えるシャイである」と明言することでアテンとシャイを結び付けようとしました。
、あのアクエンアテンでさえ、人々が思っているような一神教徒ではなく、(アスマンとホーナングが指摘したように)シャイを無視できなかったのです。
富を求めることに心を奪われるな
シャイを無視できるものなどいないのだから
外部の問題に思考を奪われるな
どんな人でも時間は限られているのだから
――アメンエムオペの教訓
彼はグレコ・ローマン期において重要な神の一人でした。
アレキサンドリアでは、彼を幸運を伝える蛇神「Agathodaimon(アガトダイモン)」と結び付けました。(シャイ自身について話すとき、彼はプサイスまたはプソイスと呼ばれました)
セトもまたアガトダイモンと結び付けられます。それはシャイのもつ、自然における予測不能な性質と同じように考えられたから、と同時に、シャイという言葉がセとの聖獣である豚の意味を持っていたからでしょう。
シャイは彼固有の崇拝を持っていただろうと考えられます。
というのは、第18王朝にシャイ神の第二神官の存在が知られているからです。
しかしそのほかには、この神の崇拝についてほとんど知られていません。
彼は古代エジプト人に、彼らがどれだけ生きられるかをさだめる運命の主として、
また彼らの最後の定めに直面したとき共にあるだろう神として、尊敬されました。
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原文が「アメンエムオペ」だったのでついついそのまま書いちゃった。
今は「アメンエムオペト」というのが普通ですよね。
神々事典でも調べてみましたが、
こちらのページのほうが詳しそうです。
本ではマアト女神と同じように、概念の神格化と見ているようです。
さて、レネヌテト(レネネト)については、
PTよりあらわされる蛇の女神で、その姿は基本が蛇。
名前の意味は「養うもの」で、上述のように、もとは豊穣などを表す神だったようです。
同時に、その名前のとおり、多くの存在を「養う」乳母としても表現され、
子供を養う乳母と表現されたところから、
子供と関係ある神=子供の運命に関わる神、とされたと考えられるそうです。
かなり人気の高い女神であったとされています。
この「運命の神」としての性質、特にシャイとの関係は、後代ほど強調されていくみたいです。
ちなみに息子は「ネプリ」、穀物神です。
以上、神々事典より要約。
レネヌテト、意外に重要な女神様でした……。
ハピより偉い、みたいに書いてました。マジですか??
ハピが彼女に供物をささげている図があると。