古代エジプト関連限定ブログです! 宗教思想関連多め
●映画『ピラミッド5000年の嘘』のこと
ツイッターで情報が流れてくるので知りました。
タイトルから、ちょっと嫌な予感はしてたんですが
公式サイトに行って、予告編を見て、
ああ、ニューエイジ系だな、ということはよく分かりました。
公式サイトをリンクするのがちょっと躊躇われるので
興味がある方は、検索してみてくださいね。
古代エジプトファンとしては、
毎度「古代エジプトを馬鹿にするなーー」と思わされる(笑)あれです。
(↑こういう姿勢もどうなのか…笑)
こういう類のものの主張はいつも
「こんな凄いものを(古代エジプト人が)作れるはずがない」、から始まっているので(笑)。
昔いくつか読んだことがあるので(何も分からず……って今も分かっちゃいませんが)、
すごく懐かしいです。
ピラミッドパワーとか黄金比とか、ピラミッドのこの部分の長さを何倍すると宇宙の神秘が分かるとか…
最近は、スフィンクスの下に秘密の部屋があり、超古代文明の何かが隠されてる、とかよく聞きます……ザヒ博士がよく困ってました…。
あれを今、改めてやるのかーと。
見に行くつもりの方に、
ひとつ、ご紹介したいブログ(レビュー)があります。
ちょうどさっき
エジプト考古学者のブログでそのことに触れられていたので
(あ、日本人なので日本語です、大丈夫!)
(というか監修を頼まれたとか……びっくりです)
専門家の見方ってことで、勝手ながら、ご紹介させていただきたいなと。
そこでは同僚であるエジプト学者達の意見が歪められ、紹介されていた。
・・・
「(自分が)研究しているのは中身についてであって、作り方については研究していない」と語ると、「エジプト学者は作り方の研究を全くしてない」という紹介をした。
ピラミッドを宇宙人が作った可能性もゼロではない。だがピラミッドに残された加工痕、周りに堆積した石灰岩の瓦礫やその中の土器片や動物体、ピラミッドの周りの複合建造物、そして彼らが住んだ「ピラミッド・タウン」などから判断すると古代エジプト人が作った可能性のほうが圧倒的に高い。
抜粋なんかしたくないのですが
(全部読まないと誤解されるかもっていうのが怖いので)
私がとにかく、これなんだって思うところだけ。
上の、事実の捻じ曲げは、
やりそうなことですが、
やっている、と意識しないとなかなか気づけないことですよね。
そしてその下。
「宇宙人が~」の部分は思い切ってかかれてますが、
実際のところ、「100%とは言い切れない」というのが本当で。
専門家もそれを認めていると思います。
けれど、続けて書かれている通り、
99%は、そうだろうという物証があるわけですよね。
残り1%(もないかも)は、宇宙人に限らず、超古代文明も、何でも、当てはめようとすれば当てはめられるはずです。
100%は分からない、だから反論はできない、というところを
100%じゃない、だから違うだろう、とされてしまうのが、パターンですね……。
あとは、言い方ですよね。
建造物(ピラミッド)に、またはその周りに残された、
人(古代エジプト人)の関わりを示すさまざまなものを無視して
憶測でしか語られず
その人物像も文明の様子も何一つ具体的でないものを引き合いに出されてるわけなので
考古学者も、反論しようにも、同じ土俵に立ってない、という感じがしてしまうと思います。
歴史の流れや、同時代のほかのもの、さまざま連続・比較してみるべきものを、そこだけ切り取って見てしまっている。
故意かそうでないのか、こちらの説明に耳を貸してくれない(上記のような、逆説的な受け取り方ばかりする)。
だから
ザヒ・ハワス博士みたいに、「そんなものは、ない!」と言うしかなくなって、
よけい反感を買う、憶測を呼ぶのかもしれませんね…。
予告編にもありましたが、
ピラミッド(ここではクフ王のもの)を作るのにかかった年、
かかわった人数、また建設方法(第一ここが一番重要なのに、一番謎)さえ、
専門家のなかでも、「これで間違いない」と言えるものがないのです。
そうであろうと考えられている、程度で、よく聞くと「だけど、まだ詳しくは分かっていないんだ」ということになっているはずです。
つまり、その数字や方法は、正しくは専門家にも「謎」で、
こうなのでは、という、あちこちの数字をつなげたものを、一般の本では「一応」説明としてあげているのだと思います。
それに対して、おかしいと突っ込みを入れ、更に
「だから、専門家の言うことは信用ならない」と決め付けてしまうのは
困ったことだなあと思いました…。
毎度思うのは
「どう考えても彼らには不可能だ」=「これは超古代文明(または宇宙人とか)の産物だ」
という感じなんですけど、
その、超古代文明とかでは、どのように作られたかの説明は全くしようとしないところが、面白いですよね…。
専門家はどう見るかというと、
可能、不可能を考える前に、
物証を探しますよね。
それがあれば、不可能に思えていても、事実そうであったと認めるしかない。
そういうものだと、知ってるんですね。
「エジプト学者たちは真実を隠している/事実を見て見ぬフリをする」
という言葉は昔から使われていて、
そうなのかなあ、なんて思ったこともあるのですが(笑)、
何のことはない、専門家たちも、「謎であることを認めている」んですよね。作り方とか。年月とか。
ただ、それを、だからといって何の証拠もない超古代に結び付けることをせず、よりつながりとして見えているものを検証しようとしているだけなんですよね。
ただそういうのは、地道で、新しいことはなかなかでてこない。
また、聞いていても専門的でよく分からず、取り上げられることもなくなって、
私たちは、そういうことを、知らないだけなんですよね。
**
エンターテイメントってことで楽しんだり
今でも分からないことがいっぱいあるんだなあ、と思って見るのは、いいかもしれないですが、
「エジプト学者はちゃんと研究してるのか」と思われるのだけは悲しいなと思います。
それだけが、気になりました。
●衛星調査で17基のピラミッドが見つかったってホント!?
http://www.drhawass.com/blog/bbc-satellite-project
大変です。
ザヒ・ハワス博士ご立腹。
理由は以下のとおり。
エジプトでの発見は、(考古)庁を通し、許可を得てからでないとダメ。
なぜなら、間違った情報を流して混乱することがよくあるから。
そして、BBCのケース(ピラミッド17基発見のニュース)はまさにこれだ、と。
*
そもそも、
このテレビ番組『Egypt’s Lost Cities』にはザヒ・ハワス博士も参加しているそうですが、
その中に不正確な内容を含んでおり、
「聞いてない! ずさんだ!」
と、怒っている模様。
詳しく見ると、こういうことみたいです。
Although satellite imaging is useful for discovering new sites and monuments, interpretation of the images is not straightforward. No one can say with certainty that the features displayed under the sand are actually pyramids. Such anomalies could be houses, tombs, temples, pyramids, buried cities or even geological features. The only way we can definitely identify what is there is by excavating it - by investigating it physically. This was not made clear in the article.
衛星イメージはたしかに、新しいモニュメントや遺跡を見つけるのに便利ですが、
画像の解釈はそう簡単ではありません。
この砂の上に示された特徴が実際にピラミッドであると明言できる人なんていません。
こうした“異常”は家かもしれず、墓かもしれず、神殿、ピラミッド、埋もれた都市、はたまた地質の変化かもしれないのです。
これらが何であるかを明らかにするには、実際にそれを発掘―物理的に調査―してみる他ありません。
この部分が、記事では明らかにされていませんでした。
「ピラミッドがあった!」と安易に言いすぎだ、と怒ってるようですね。
何か分からないでしょ、と。
確かに。
こう指摘されると
墓なら、そりゃまだたくさんあるだろうなという感じですよね……。
いやいや、誤解しがちな部分です……。
***
この記事には、こんなことも書いてありましたよ。
A few months ago, satellite images of the necropolis of Saqqara South revealed the existence of three substantial anomalies. Archaeological inspection revealed that they are the remains of three pyramids previously excavated by the French Egyptologist, Gustave Jéquier (1868-1946). Among these three pyramids is one belonging to a 13th Dynasty king, Khendjer (c. 1764-1759 BC).
数ヶ月前、サッカラ南の埋葬地帯の衛星イメージが三つの重要な“異常”の存在を明らかにしました。
考古学的な検査の結果、そこに過去フランスのエジプト学者グスタフGustave Jéquier(1868-1946年)が発掘した三つのピラミッドが見つかりました。
このピラミッドのうちの1つが、13王朝のケンジェル王(前1764-1759年)のものでした。
In addition, over the last 20 years two new pyramids have been discovered by archaeological teams led by me in Giza and Saqqara. The first was found beside Khufu’s pyramid in Giza (c. 2551-2528 BC) and the second is next to Teti’s pyramid in Saqqara (c. 2323-2291 BC). The base of a new pyramid at Saqqara has also been found, of an unknown owner, which we are still excavating.加えて、最近の20年のうちに、私が率いた考古学チームがギザとサッカラで二つの新しいピラミッドを発見しています。
はじめのものは、ギザのクフ王のピラミッド側で(前2551-2528年)、
もうひとつは、サッカラのテティのピラミッドの隣です(前2323-2291)。
新しいピラミッドの基底部もまたサッカラで発見されており(建設者不明)われわれはまだ発掘中なのです。
**
いろいろ発見しているということですが
なかなか記事が間に合わずすみません(汗)。
やはり、持ち主が分からない、特に時代が判明しないとなると、
ニュースにはならないので、一般人には伝わってこないですよね…。
また調べてみます…。
とりあえず義務感で記事上げてみましたっ…
-----《追記》-----
過去に、
同じような衛星調査で『未知のピラミッド発見!』と話題になったものが
実はピラミッドではなく、大型の墓だった、ということがあったそうで……。
http://www.tric.u-tokai.ac.jp/news2/jpyramid1.html
東海大学情報技術センターは、1994年から早稲田大学古代エジプト調査室と共同で「衛星による未知のピラミッド探査」に関する研究を行っている。
…
そして1996年4月、ギザの南約20㎞のダハシュール(Dahshur)北地区において、衛星画像解析によって特定した調査地点のひとつから広大な墓域が発見された。
発掘の結果,……トゥーム・チャペル(Tomb Chapel:ピラミッドの付いた神殿型貴族墓)であることがわかった。
*
まあ かなり小さいですが、
確かにピラミッドはついてます……
でもピラミッドじゃないし……。
こういうのは、新王朝時代後期にはかなりあったはずですよね。
個人的には
ピラミッドじゃなくても、
古代の遺跡であればなんでもいいという感じなんですが……
す、すみません……。
ピラミッドかそうでないかってそんなに大事なのかっ……
とにかく変な誤解はしないようにしたいです……。