古代エジプト関連限定ブログです! 宗教思想関連多め
●フランソワ・ドマ『古代エジプトの神々』白水社(文庫クセジュ)
訳者前書きから、
「言ってる意味が分からない……」でしたが、
本文もやっぱり難しかったです、私には……。
一般的でない(=広辞苑に載っていない)フランス語をそのままカタカナ化した言葉とか、
そっちの文化では一般的なのかもしれないけど……みたいなたとえがすごく多くて。
あとまあ、今の日本で使われている古代エジプトの神名や地名、王名と違って、戸惑いますよね。
これはもう、古いから仕方ないんですが。
宗教的なことを説明するとき、西洋の宗教やその感覚、たぶんそこでは常識とされるような古典的知識、みたいなのを何かにつけて持ってくるので、
ああ、まずフランスの文化から勉強しないとだめなのかな。と思いました(笑)。
実は、この本の一番おいしいはずの、第三章と第四章、
つまり、上下エジプトの「土地を回って」その崇拝の形を土地ごとに見ていく、という部分が、
自分には、すごく分かりづらかったです……。
地図が! 地図がないと分からない!! なのに一切載ってない!!
神殿大百科と併読しました。文庫本なのに、持ち歩けない状態。
セベクの神殿のあたりは(はじめのほうじゃん・笑)すごく面白くて、特に神殿大百科があると、「うわあ、本当だ、二人の神様用に左右が分けてある!」とよく分かるのですが、
下エジプトなんて、どう歩いたのかもよく分からなかったです(諦め・涙)。
私には「まだ早かった」のかもしれません。
あと、「西洋的な考えにとらわれすぎて、古代エジプト神話のすばらしさを理解できていない、勘違いしている」と、過去のエジプト神学?を非難しているのですが、
ご本人がけっこう西洋よりの考えで……って、もう仕方ないですよね。
淡々と、知識を得るために読むには、どう判断すればいいか迷う部分も多く、
あいまいな表現、遠まわしな言い方は、「知りたい」と思うときは、ちょっとイラっとくる部分です。
でも、知ってる部分なら、その婉曲表現が魅力になり、読みながらにやりとしたり、より想像を掻き立てられるかな、とも思いました。
最終章の「第六章・多神教と一神教」は、
一神教を「宗教的昇華」と捉え、古代エジプトの宗教がそれに近い、もしくはほぼその状態となっていたと主張していて、
多分、一番言いたかったことなんだろうなと思いました。
本人の主張が見られる本であるからこそ、
合う・合わないがはっきり出そうな内容だと思います。
自分に合うかといえば、本人の主張とは合わないけれど、
宗教的な見方、分析の仕方など、いろいろ勉強になりました。
ちょっと……引いちゃうところもありますが(笑)。
多くの文献を引用しており、
はじめにこの本を手にした理由、その期待は裏切られず、ずっと手元において、たびたび開きたいと思えます。
一番多いのは、きっとご本人が一番訴えたかったアメン神の一神教的性質を示すために引用したアメン賛歌などが載ってる第六章。
メンフィス神学についても、また新しい表現を見ることができます。
一番、もったいないと思ったのは、
文献の引用元を、ほとんど記していないことです。
すごく気になる文を見つけても、調べられないのが……辛いです。
文献そのまま訳してるのか、著者の意訳なのか。私には判断つきません。