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古代エジプトのこと

古代エジプト関連限定ブログです! 宗教思想関連多め

アアペピとセト、日食のこと

アアペピ(アポフィス)のこと
 ほかの(新王国時代以降の)宗教文献で調べてみたよ。

●アムドゥアト
 第7の時間に、アアペピが退治される。
 でも退治するのはセルケト女神と他いろいろで、セトではない。太陽神ののってる船からの攻撃ではなく、その場に船が無事通過できるようにと他の神が待機してて、やっつけてくれるようす。(退治されて無事通り過ぎる、みたいな事しかかいてない。日食らしいことは書いてないかな…)


●死者の書

セトが太陽の船から銛でアアペピを突き刺してる図
 →死者の書なのか?(ヘルウェベンHryt-wbxtヘリトウベクトという女性のものっぽい。なんかそれしか見当たらないんだが)、ほとんど見つけられず…(横に説明の文が無さそうというか)。ただ108章がモチーフらしいということをつかんだのであとで詳しく。

②アアペピと言えば、ナイフもった猫が切ってる図
 →17章(なんと、メジェドの文のちょっと前だった)
 でも、この部分についての記述は、
 「戦いの日にイシェドの樹のそばでアアペピをやっつけた猫は、太陽神ラーなんだよ。シア(神の認識力の擬人化)が『彼がしたことは、まるで(mi)このようだった』と言ったため、彼の名が猫(miw)として現れたんだよ。」
 ・・・と、言葉遊びで太陽猫の説明されてるくらいで、日食の話はなかった。

 また同じこの図が墓に書かれていたりして
 一番有名なのがインヘルカアウの墓(TT359)なんだけど、
 上の文は、死者の書からの抜粋でもなく、「アアペピの背骨を切って敵を退治する呪文」て書いてあるくらいで…その続きではすでに勝利したのか、よかったね~みたいな(自分で訳せなかったんですが汗)事しか書いてないっぽい?
 半分以上はインヘルカアウとその妻の肩書とか書いてるだけでした。
(そのほか、センネジェム⦅TT1⦆やナクトアメン⦅TT335⦆にもあるようですが、名前しか書いてないとか、死者の書のちょっと違う部分の引用と一緒に描かれたりくらいだった)



 さて
 死者の書108章いきましょう。

 Tombs. Treasures. Mummies. Book Two: The Tomb of Maiherpri (KV36) & Tomb of Kha & Merit (TT8) (Volume 2) ,p128,129
訳の参考はこちら(PDFです)。
 CVIII p167

 参考訳はバッジのですね。上の、カーのパピルスとは、ざっと見てちょっと構造が違うみたいなんですけど…、まあなんかだいたいは同じだろうということで…。(てきとう)

 とりあえず訳のほうをざっと確認してみます。
 えーーと。だいたいCTと同じですね。

 「西方のバアたちを知ること」から始まって、バアクウ山が出てきて(この山、天を支えているらしい。また、「太陽の昇る」山だと書いてあった)それは天の東にあると。高さは300ケト、幅150ケト。
 山の主セベク神が住んでいて、神殿は山のふもとに。そして頂上には、30キュービットの蛇。前側8キュービットはフリント(火打石)と輝く金属の板で覆われている。
 蛇の名は「彼の炎の中にある者
 船に乗るラー神に深い眠りがもたらされ、彼は7キュービットもの水を飲み込んだ
(そうして船を座礁させる意図らしい)
 そこでセト神が 鉄の銛をもって立ち上がり、呑み込んだものぜんぶを吐き出させこれを止めた。
 そうして彼の前で呪文を唱えて曰く
 「空へ帰れ。この手にあるもの(銛)が用意されてるぞ。」

 ・・・と、ちょっとだけ違う数字があったりするものの、だいたい同じような流れ。
 この先ほぼ同じ感じ。
 (詳細は続きの記事で検討します)

 ただ死者の書では、最後の呪文のまとめみたいな部分に、
アアペピを退けるため」
 という言葉が入っていて、
 やはりこの、山の上の「彼の炎の中にあるもの imy-wHm=f(イミィウヘムエフ)」は、アアペピと同じものであると考えてよさそうです。
(CTでは、炎は「whm」ですが、カーの死者の書では、炎は「hhw(炎の息?)」となっています。hhwはふつうに単語として載ってますが、whmのほうは、ハーニッヒの辞書で「炎(固有名詞)」というかんじで載ってました)

***

 呑み込んでるのは水で、それで船を座礁させているのか?
 なんか、「頭を覆う」って何度か出るんですが。
 どういうこと?
 月の書で読んだ時、剃って禿げているのが満月だったけど、それと関連しているなら、まさに光ってるのが覆われて、「食」になってるという感じはするよね。
 しかし、どっちの頭を覆ってるのか???
 やっぱりラーなのか? セトが誰に向かって言ってるのかがよくわからん…。
 蛇の頭を覆って飲み込めないようにしてるような気もするけど…。

 で、もしセトがラーを覆っていて、そのせいで日食になるのだったら……、
 日食って、蛇がのみこむせいと思ってたけど、
 蛇が水を飲んで船が座礁しちゃって、それでセトがラーを覆う(守ってるのかなあ……どういうことなんだ??)せいで、太陽が黒くなるなら、
 別に恐ろしいことではなかった感じかも…。

 しかししかし、セトはアアペピの頭を覆った、という可能性もかなりあって
 そうするとこの蛇は月そのものということになるのかなとか?
 いや蛇を覆ってそれが日食なら、蛇=太陽じゃん。あれ、よくわからんぞ。

 てきとうな説明は想像でいくらでもできるので
 根拠のしっかりしたのが見たいですよね。
 ウーん。全然うまくできる気はしないけど自分で比較してみるしか……。

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あやめ
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 古代エジプトについて趣味でいろいろ。
 ド素人が楽しくやってるだけのブログ。間違いもいっぱいあります。気付いたら直します。ご指摘感謝です。
 エジプト語読んでみる、とか書いてますが、ほとんどは訳を参考に、元の表現を確認しているだけ。文法がふわふわ。
 気が向いたときやるかも、みたいな。

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