FBで見つけたこの明らかに宗教的(太陽の復活のモチーフ)レリーフ見てくださいこれ。
Český egyptologický ústav FF UKちょっと後代っぽいなと思ったら、第26王朝終わり~27王朝にかけてのもので、
アブシールにあるIufaa(iwf-aA)の墓のものだった。発見されたのはもう30年近く前。
注目すべきは上部の蛇。
太陽の再生の場面に蛇が描かれるの珍しげ。しかも頭多い。そして、尻尾になんか羽か毛みたいなのついてない?? なんだこれ初めて見たし個性つよー――
しかもしかも、
「メヘン」て書いてるっぽい。
え、これメヘンなの!? あの、太陽神を囲って守る蛇??? こんな頭いっぱいある設定なの???
しらべてみると、
このIufaaの墓は
「Snake Encyclopedia蛇百科」と呼ばれる、他では(あまり?)見られない、蛇に関する宗教文書がまとめて書かれてるらしく。
(
「xrp-srqtセルケトの医師(サソリや蛇の治療の専門家)」のハンドブックみたいなものから引用されているらしい)
特に上の図、東壁と、その向かいにある西壁に。(北にも4つほどあるけど)
蛇(神)の種類は6種くらい? そのうちこのメヘンは、東壁のこの図より右手のほうに数行、説明が書かれてるっぽい。
しかも、反対の西側の壁にの右下のほうにも、頭がいっぱいで、尻尾に羽みたいなのがついてるやつが描かれてるの。頭の数違うけど。↓
で、
この動画(FBのポストと同様チェコのカレル大学のもの)にヒエログリフと訳があったのでざっと読んでみることにしたんですよ。
そしたらもう面白いのなんの。
説明見て図像を見ると分かりますが、
身体に眼が4つあります(ちょうど山になってるとこ!)。
そして後ろのほうにある羽みたいなのは、(鉤)
爪らしいよ。
7つある。説明にはっきり書いてある。
よく見ると、はじめの(東壁の)画像のメヘンにも、身体に眼が4つあるし、爪も7つ。頭の数が違うだけ。
そしてそして、この(西壁の)蛇の説明文の最後のほうが、東壁のメヘンの説明とかぶってる。
ていうことで、これはメヘンに違いないと。
では動画と、こちらの訳↓を参考に、メヘンの説明を日本語にしていきたいと思います。
The Book of Snakes from the Tomb of Iufaa at Abusir
By Jiri Janak
途中からかぶってるので、片方にしか書いてないやつは [] で補い、間違ってるのもあるらしいのでそれはスルーしていきます。(西壁の最後のほうあんまりよく見えないので後半は東壁メイン)(間違いもあるとおもいますが翻字見つけられなくて。すみません。)ir naw pn sSp r Dr=f
この大蛇についていえば、それは全体が光である。
iw srf Hr=f n Hrst r-mn m HAt =f r pHt=f
彼の上には
カーネリアンの線が、前から後ろまでずっとある。
※1iw DADA=f wa m msDmt
彼の頭の1つは方鉛鉱
(アイペイントの黒い顔料)で
DADA 2=f m THnt
頭の2つはファイアンスで
DADA 2=f m dSr
頭の2つは赤くて
DADA 2=f m wAD
頭の2つは緑の石で
ky 2 m nbw
残りの2つは金でできている。
iw mH 33 msd(t)=f m ds
臀部の33キュービットがフリントでできている。
iw irt 4 Ts Hr qAb=f n wAw=f
4つの眼が腹のうねりの上についている。
iw ant 7 Hr sd=f m qny(?)
7つの爪がその尾に、保護のため(?)ついている。
naw pw rhn tA Hr=f iw=f [m bw(?) aA]
それは[巨大さが故に]大地が寄りかかる蛇である。
bwt=f pw bdt it Apd nb km
彼が嫌うものは、大麦小麦と黒い鳥すべて。
Haw nTr pn nTr m pXr=f
この神の肉体は
『囲うもの』であることにより神聖である。
※2[iw=f m] sA [pw] n tA
彼は『大地の梁』である。
iw=f m gs Hr at StAt ntt m Iwnw
彼はヘリオポリスにある秘密の部屋の上側にいる。
[imy awt nTr pn] iw=f m dbn Itn [ny=f im mwt ny=f im anx ]
[この神の身体の中にあるものは、]太陽円盤の囲いの中に[生と死に属するものとして]ある。
ir xr nh n fdt=f Hr=f iw kA 4 r xpr n=f
もし彼(大蛇)の少しの汗が彼(人)の上に落ちたなら、4つのカーが彼に生じるだろう。
[ir xr wsS=f Hr=f] iw=f Ax n=f m Xrt-nTr wn=f r-a n nTr-aA
[もし彼(大蛇)の尿が彼(人)の上に落ちたなら、]それは墓域の彼にとって有益であり、大神の近くに存在できるだろう。
pr nTr pn dwAt nt wpt-rnpt
この神は新年の朝に出てくる。
iw Hry tA=f m aAw [n Nt] aHa=f smAw Ra rn=f
地上にある彼(の姿)は、『ラーの殺し屋』という名で、[ネイトの]サイス(地域)にある。
pr=f dwAt nt wpt-rnpt wab xr=k sw
彼は新年に出てくる、そしてあなたは確かに彼を清める。
ir xrp-srqt nb iqr r dit=f mdw bs=f Hna nTr pn xrp?=f n HkAw=f
優れたセルケトの医師なら誰でも、彼に言葉を与えるならば、彼はこの神と共に始まり、その魔法で支配する?だろう。
wnn=f m Smsw=f pr=f Hna=f
彼は彼に付き添っているだろう、彼と共に彼が出てくるときに。
Dd xr=k m HkA dwA=k sw
あなたは確かに魔法で話す、彼を称えながら。
※3aSA Hr n inq.ti wDAt tit at nt ir sw
「『彼を作る者』のウラエウスの姿の『ウジャトを集めるもの』の顔はたくさんある。
HD Snw? pA n dgi tw im=f
『人がそれによって見るもの』の
羽毛は明るい。※4m tkA r=i
火を私に向けるな!」
tm tkA pw r s imAxw iwf-aA
それは人、尊敬されし者イウフアアに火を向けないことである。
pA n HH m Aw=f n rx.tw Dr.ty
「『100万の長さのもの
(とてつもなく長いもの)』、『両端の知られることのないもの』よ、
di nb pr=i Hr sbxt StAw mi tkn=k iw=k wAw
主人が私を秘密の戸口から出させますように、遠くにあるものが近付くように、
tw gmHw m wa pA aSA-Hrw
『顔のたくさんあるもの』の一つとして見られるときに。?
iw rx.kwi StA kA xprw pw im=f
私は知っている、その中から生じたカーの秘密を。」
imAxw iwf-aA
尊敬されし者イウフアア
*****
※1:カーネリアンの線が蛇の体に、しましまについているということ??※2:治療や薬という単語は「pXr」であるため、同音異義語であるpXr「囲うこと」が治療に有効と考えられたらしく(=神聖である、ということかなと)、病気を患っていたイウフアアの墓もヒエログリフ等で囲った構造になっている。※3:ここから後期エジプト語で文体が変わるうえ、aSA-Hrw『顔のたくさんあるもの』に関する内容となっているとのこと。(図ではこの蛇も顔がたくさんあるので、同じものという可能性はないのかな…?)※4:三つ連なっているヒエログリフが、髪なのか光線なのか分からない。「光線が明るい」「髪は白い」とかかも??***
この通り、設定もりもりですごく面白いんですが、
後代のものなので、外国の影響はあるのかも、とかはちょっと思ったり。
この「蛇百科」の蛇たちは他のものも、けっこういろんな輝石でできているとか、特徴満載なものばかリなので、メヘンだけが特別ではないかも。
けど、一番上の画像のような重要場面に描かれている以上は、ちょっと特別視されてたりするような気もしたり(ぜんぶ読まないと分かりませんよね…)。
やっぱり「囲うもの」(=メヘン)であることが大事だったのかな…。墓主のイウフアアは病で苦しんでいたということなので…。
最後のほうに「顔のたくさんあるもの」という名前が出てきますが
これはアムドゥアトにも同じ名前のがいますね。
同じものなのか…だとしたらそれはメヘンなのか…
気になりますね…。はい。