はーい。行ってきました。
けっこう人が多かったです。山口でやるの30年↑ぶりだそうで。
(その前のやつも、ライデン展だったのでは…。1987年の図録あるんだけど(古書))
まあ並んで待つことはなかったですが…。(時間によってはちょっと待ちが出た様子)
周りでも、エジプトそれほど興味あるわけじゃないけどこれは見たいという声を聞いたりして
なんかちょっと嬉しい。
***
さてとりあえず
図録の順番にふり返ろうと思います。つまんでいきます。
№1「アブシールのピラミッド複合体模型」
えっ右端に太陽神殿あるじゃないですか―――――――!!!
ベンベンじゃないですか――――――!!
こうして見ると……ちいさっ……。
太陽神殿だよって説明なかったじゃん(図録にもない)。ウセルカフのだって…。
№9「ツタンカーメン王の倚像」
これツタン様の名前もないのにツタンカーメンって分かるのすごい。
身体の曲線の具合とか、あとなんか
両肩にかかる服の帯みたいな、あの部分のデザインがこの時代のものなんだって、
展示室の垂れ幕に書いてた(図録には説明がない)。
あの帯のデザインがこの時代特有とは知らなかったなあと思ったよ・・・。
(そういうえば急にヌビアのへんの遺物が入っててびっくりしました)
№25「アメンヘテプ・フイのピラミディオン」
花崗岩ですよね…?硬くて有名な…。財力誇示カッ
表面ががさがさしてるので、文字が彫ってあるっぽいけど全然読めなくて残念。
図録でのフォローも無かった…。
№36「ペルイブセン王の印影がついた土器の栓」
これさあ!!
ただの土の塊……と思いきや。
なんと第2王朝! それだけで土の塊でも愛でたくなるというのに、ペルイブセンの印影付き!
図録でも映してましたが、肉眼で見れるからこその感動がありました。
マジで書いてる。ペルイブセンって。マジで!スゲー――!!
これみつけた人すごく感激したに違いないよなあ……とか、思った……。
№38「名称不詳の供養碑」
№40「カーメスとネブセンの石碑」
この二つ、第一中間期と第二中間期のなんですが
デザインが崩れてるのがよくわかる(しかもきれいな)遺物です。
面白いものを持って来るなあと思いました。
(38の第一中間期のは、文字がもうヒエラティックになってるw でも牛の頭部の絵とか色もついてて何か分かりやすい。……バランス悪いけど)
№47「呪術テキストが記された彫像の断片」
これキャプション見たか覚えてない><けど
呪文が「有毒な動物に対する呪術テキスト」であるくらいの説明は欲しかったな。
ひらいた足の、内側にも、横書きで書いてて。
耳なし芳一みたい、と家人が言ってましたよ。
№58「神の標章の装飾」
後代のはあんま興味ないんですが(すみません)
これはちょっとテンション上がった。
むっちゃ棒につけてわっしょいするイメージ湧いたよ(図録にはちゃんとそう説明してある。展示室にも説明あればよかったのに)。
横の名前は気づかなかった>< 図録万歳!
№80「コウモリ」
№82「ハリネズミ」
コウモリ、猫かと思った。
ハリネズミの神妙そうな顔つき…。
後代のは独特な面白さがあるなあとか思ったりして…。
№116「楕円形のバスケット」
この、すごく日用品っぽい感じ。手で編んでる感じ。
いまでも使える。欲しい。みたいな。こういうのもいいですよねえ。好き。
№126「少女の形をした把手付軟膏スプーン」
こういうのあるけど、「ヌウト女神」のイメージだっていう説明があってびっくりした。
マジですか……? 女の子なんか小間使いの子か踊り子さんみたいな、ほぼ裸ですけども…。
№142「コンスウヘテプのミイラ覆い」
見てください。オシリスと並んだ右側の一行、ネイト様の文です。
ここでオシリスと並んでネイト様が出てくるって珍しい気がして。しかもラーの眼です。
№145「アメンヘテプの内棺」
このひとの棺はミイラ覆いも、すごく綺麗で見がいがありましたね。絵も様々なものがたくさん、字もたくさん書いてあって、内側も側面も、全部が見どころ。すごいですね。
頭のところの正面顔が地味に面白い…(どこかの記事に「神様」ってあったけど、横の文に「死者のバー(魂)」だよってちゃんと書いてあるのよ)。
ぜひ横からもチェック!!!
アヌビスが天秤で心臓の重さ量ってたり、シューがヌトを持ち上げたりしてますよ! 下のほうが切れてるけど!ゲブいたと思うなあ(よく見てなかったわ…)。
頭のほう(右)に、ネフティスがいます。反対側にイシスがいたんですが、図録には載ってません><! どうして片側しか載せてないのか――><
この部分↓とか面白いですね
蛇持ってる神様、頭がワニとライオンですよ。双頭、そして相当強そう。
それと、アメンヘテプの棺はどうも、
ヌウト女神の「天空」のヒエログリフが逆さになってて、気になりました。なんでやろ??
あとたしか、うねうねしてるアポピスがめっちゃ刺されてる図とかあった。横も要チェックですね!
№148「ホルの外棺」
表紙にされてるやつですね。
バランスとか特にいい感じはしないんですが、内側のヌト様の足がつま先立ちで面白いw
(よく考えたらいつもつま先立ちか…でも正面から見てこうなってるとは思わなかったよ)
№149「ハイトエムハトの棺」
頭と体のバランスはホルのやつと近いんですが
ヒエログリフの丁寧さ(と色分け)がすごい。今回はこれが一番いろいろ吸収できました。
とりあえず書き出しに「ヘテプ・ディ・ネスウト」「イマアキィ・ケル」「ジェドメドゥ」とあれば、つづきの神名は確認しちゃうエジ神脳ですが
これ、上側の左右の神名、見てください。
(←クリックで拡大します)(一部拡大↓)
右の
赤いのが、
mAA-it=f「彼の父親を見る者」
左の
青いのは(色々調べた結果)、
Xr(y)-bAq=f「バアクの樹(モリンガ)の下にいる者」
いや聞いたことがなかったもので。
でも下(真下は左右ともアヌビス、最下部は右がホル・ケンティ(エン)イルティ、左はホルネジュイテフです)を見ても、このあたりにくるのは神名なはず。
まずハーニッヒの辞書で調べたら、マアイトエフは見つけたけど、もうひとつが分からず(実は、はじめの文字をgと読んでいました。意味が分からんとは思った…。つづけての単語がないので、rでいったん切って、その下で探してみたら、決定詞通り木であった。⦅しかしAが抜けてたのですぐ見つけられんかったよ!⦆そしたら「木の下」Xrなら意味が通りそうと思ったら案の定)。
見つけても、どこに出てくる何の神かわかんなかったので、ネットに放り込む。
maaitefで素直に出てくれる
UCLの死者の書のページ。17章です。(最高!)
カーのパピルスでここ。(アニのパピルスにもあったよ)
どうやらこの「死者の書17章」にしか説明されてないのかな、
この二柱の神は、ホルスの息子たち4人と、ホル・(メ)ケンティイルティと合わせて、埋葬(qrs)を守護(sA)するため(m-Hr)にアヌビス(inpw)によって(in)集め(ipw)られた(rdit)「7つのアクたち」だ、とあります。
なるほど、それでこの棺は、下にアヌビス、そのまた下にホル・ケンティイルティの名前があるわけなんですね。(よく見ると、上段にはホルスの4人の息子たちもいましたわ…まあこの4人は棺によく描かれるので…)
しかしこの棺、
図像それぞれの前に「Dd-mdw-in神名」でセリフがあるので、図像はその神さまっぽいんですが。
「彼の父を見る者」って、ホルスっぽい?
人型だけど、最下段の二柱のホルス同様、セリフの中に「私はあなたの息子、愛するホルス」が入ってる。まあホルスっぽい何かなのでは。
そしたら「モリンガの樹の下にいる者」は、もしかして、トトのことなんでしょうか?
トキなだけかもしれませんが…。モリンガの樹とトト神に関係があるのか、気になりますね!
(ちなみにセリフは、ラーの命令であなたを守る的な、あなたに同行して守る的なことが書いてました。…たぶん)
うーん、死者の書17章。
いろいろ神様のネタがてんこ盛りみたいですが
こうしてちょぴちょぴ情報に触れていくことになるんでしょうか…。
それからこの棺なんですが
死者の名前の前に、Ah(?) Hwt-Hrみたいな言葉がついてて。
称号なのかな?と思うけど、どういう意味なのか分からない。図録にも説明ないし。
きになるよー。
ついでにうしろに描かれた隼。たしかに、あの「布みたいなのが垂れた半円の上に隼」=西方≒ハトホル。という感じではあるけど、
あれ自体をハトホルと言われると不思議な感じがしちゃいますね…。そういうものなのかなあ…。
畏怖を呼び起こすというアテフ冠かぶってるしな…。オスっぽく感じちゃうんだが…。よくわかんないよ><そういう例もあるのに知らないだけかも><
***
今回の展覧会は、コロナのせいなのかキャプションがすごくシンプルで
つまり、説明書きが少ない。それがちょっと残念でした。
図録開きながら見たかった(まわってから買うような形になってた…)。
それか、音声ガイド前提? やだー><
「タッツァ(軟膏入れのことらしい)」とか「シチュラ(?)」とか
マジ聞いたことない名前が書いてあって><
それらが何であるか程度の説明は欲しかったよ……。
かとおもうと
コホル(アイライン)のガラス瓶は単にガラス瓶としかかいてなかったり
なんだかいつもと違う感じがしちゃったよ…。
「双把手付きアンフォラ」とか「ナオス型祠堂」とか、ちょっとよくわからない言葉があったり…(マウンテン的山、みたいな…?)。いや私のイメージが間違ってたのかな…。
*
あと、山口展には来てないもののうち
№41「フイの石碑」は大変残念でしたあ><
個人的には、№37の古王国の偽扉も見たかったですよ…。
でも会場の広さもあるので・・・頑張ってつめてどうにか見せてくれてたなあと思います。
№63「パディコンスの『死者の書』」を用いてヒエログリフの読み方を説明した垂れ幕も、面白かったと思う!(厳密に言うと、このパピルスは「ジェドメドゥ」の行から左右両方に続くので、エジプトらしく面白いけど、読む方向の例としてはちょっとイレギュラーな感じだったかも…)
あと図録の最後
マアト女神の図像、もう何年もこれ使ってるんですが修正する気はないんでしょうか…(これ、アメンヘテプの棺の側面にも書かれてるけど、死者が喜んでる図ですよね…。正確には、この図の人は
アンハイです。神様ですらない><)(ライデン博物館側が提供してる図なのかも…)。
それから今気づいたけどソカルの説明「古王国時代までにはオシリス神と同一視」って…古王国時代までには、ってことは少なくとも第3王朝には習合してたという意味? 冗談じゃないです、オシリスまだいないのに…(笑)。
古王国のおわり、第6王朝ですら、ソカルとオシリスの結びつきはそこまで目立った感じじゃなかったので(なかったとまでは言いませんが…)。Rウィルキンソンの『神々大百科』にも、中王国までには、とあるので、早くてもそれくらいではないかとおもいます。びっくりしたよ><
ソカル様自体はかなり古くからいる神様で、オシリスより古いよね。ミイラ姿かうずくまる隼のイメージ。ただし全部が必ずそうではないエジプトあるある(笑)。プタハソカルオシリスが出張るのはけっこう後の方という感じしてますが…。今回の展示みたいに21王朝以降のが多かったら、たいてい一緒になってるじゃんと思うかも。
でもでも、とにかく、やっぱ生で見ると違いますね!
たのしかったです!