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古代エジプトのこと

古代エジプト関連限定ブログです! 宗教思想関連多め

岡山オリエント・ミイラ展


岡山オリエント美術館
http://www.city.okayama.jp/orientmuseum/

 この夏は、
 オランダのライデン博物館所蔵の品が200点ほどくるということで。
 行って参りました、岡山オリエント美術館!

特設ページはこちら
『古代エジプト 神秘のミイラ展』
 http://www.city.okayama.jp/orientmuseum/exhibits/MUMMY/index.html

動画による紹介はこちら(山陽新聞web news)
http://mov.sanyo.oni.co.jp/movie/content/mid/20110728195211917/

 沖縄から始まったこの展示会。
 初めて日本で紹介されたものを(web上で)見た時に、
 実を言うと、そこまで期待できないかなあって思ってたりして…
 いやっ、すみません!
 ちょっと、末期王朝時代とか、あんまりあれなので……個人的に。

 でも
 行って良かったです!

☆ いろいろ愛を感じる岡山オリエント
入り口
オシリス喋る、走るオシリス神……

トイレ案内
toilet.jpg男性用トイレには女神の説明が貼ってあったとかw
 
岡山放送のマスコット、OHちゃん(がツタンカーメンになった図)
oh.jpg

 上二つ、毎回だったらすみません、今回初めて気付いた……。

 実は、行ってみると
 末期王朝時代のものも確かにあったのですが(神像とか……)
 そうでないものもちゃんとあって!
 お勧め、みたいに書かれていた死者の書より、
 あの、シャンポリオンのノートより、
 細かな装飾の、アメンヘテプの棺より、
それ以外のもの、
 ピラミディオンや、
 アムドゥアトのパピルス、
 アラバスターの香油壷、取っ手つきの壷、櫛、ボート模型
 何よりネックレス!
 ……などのほうが、個人的には「素敵!」と思ってしまいました(笑)。

 ミイラに関わる品が多く
 護符のような小さなものが何点も来ていて(シャブティも多かったな)、
 ミイラも棺も二種類くらい(どちらもけっこう保存状態がいいものでした、選り抜きかな)
 死者の書、カノポス壷などいつものものが並びましたが、
 ステラやピラミディオンは、新王国時代の、美しく丁寧な彫のものが多く。
 全部ではないのですが、ピックアップして説明を詳しく書かれたパネルが置いてあったりするので、
 そこを読んで、もう一度見ると、「ほんとだ!」ということが多くて、
 (例えば、ピラミディオンの一面に何が描かれていて、ヒエログリフはどういう意味か、まで)
 それが、楽しかったのです!
 なんて丁寧な説明書きなのだろう、と。
 (後で知ったのですが、図説のものそのままだったようです)

 演出も素敵でした。
 パウィアメンのミイラは、黒い布に囲まれた空間の中に一つひっそりと、ガラスに囲まれて横たわっているのですが
 それがなんとも、神秘的というか、厳かな感じがします。
 同じような、ビーズネットをミイラの上に置いたもの(アンクホルのミイラ)が、別の場所に展示されていますが、
 こちらは、内部の人型棺2つと、外部の四角い棺などを合わせて、明るい場所に続けて展示されていました。
 同じようなミイラなのに、
 やはり雰囲気のせいでしょうか、小さな子供が(おそらく怖いものみたさで)パウィアメンを何度も見に行きたがるんですよね……。
 帰ってもその話しかしてませんでした(笑)。
パウィアメンのミイラ。ビーズネットきれい

 雰囲気だけでなく、
 ポイントをおさえて、パネルで説明してあるのが素敵なのです。
 パウィアメンのものであれば、

 ・なぜネットをかけているのか(オシリス神の図像に用いていたため、死者をオシリスに見立てて)、
 ・空の色である青を用い、天空神ヌト(死者の母なる女神)の加護を求めている。
 ・スカラベと、ホルスの4人の息子をお守りに、ファイアンス・ビーズで編みこんでいる。
 
 そして
 自分の目で、ビーズを繋げている紐の様子を見てみたりする。
 四人の息子も、ビーズで出来ていて、髪の部分はその形に青のビーズを用いているのかな(神の髪はラピスラズリ!!のつもりかなと)? あとはきれいに白、赤、水色…と縞模様。
 スカラベの羽の部分をビーズで組む様子も、素敵です。
 これは図録のはじめのページでも確認できます。

 アンクホルのミイラは、
 ビーズがほとんど青色で、護符が金ですね。
 パウィアメンの「ホルスの4人の息子」は全部人型で区別つきませんが
 こちらは頭部を分けているので区別がつきます。
 下の、房の部分がちょっと違いますよね。
 (これらは以前、古王国時代のビーズネット・ドレスを見た時にどちらのパターンも確認していると思います)
 ところで 
 アンクホルのミイラは、最後の目玉みたいな扱いでしたが
 「アンクホル」という名前のつづりを知らせて「探してみよう!」とあったり、
 棺の一部をどう読むか、抜き出して説明してあったりと
 いろいろ、ナルホドやるなぁ!という感じです。
 そういう楽しみ方が、私自身、一番好きです!
 でも、まあ、読めないとなかなか出来ないので、こうしてヒントがあると助かるのです……。
 ヒエログリフ読めない家族も、探したらしく「たくさんあった」と嬉しそうに言ってました。

 パピルスは
 死者の書(後代で、有名な場面を描いたものだが文字がないもの)や
 同じ死者の書でも、葬儀の場面を詳しく描いた、まるで個人の墓の壁画のようなもの(損傷はあるが、さまざまな場面が描かれており、それについて詳しい説明がパネルにある)、
 神話パピルス、
 そして、アムドゥアトの書。
パピルス・アムドゥアト。第10時 
これ、壁画以外に、パピルスで残されてるとは知りませんでしたが……、
 すごくキレイです。丁寧に描かれたものだなあと思いました。
 

 取っ手付き軟膏壷
 
 これ、取っ手の部分がガゼルの頭部(高く伸びた角!)なんですね!
 すごく素敵なデザインだなあと……。
 またアラバスターと言う素材が好きです。光に透けて……。
(しかしこれじゃ分かりづらいですよね画像……。二本の角はつながっていて、耳のあたりに穴が開いていました。蓋もあったなあ)

 大き目のだと
 夫婦の像というのがきてました。
 ちょっと欠けてるけど、全体のバランスがすごく美しいので
 そういうものを集めてくれたんだなあという気がします、全体的に。

 模型の船
船に乗って川を渡り、お墓へ 
2つきていましたが
 これ、いいですよ
 まず、葬儀の様子を描いたパピルスを見てから、この船を見たんですが
 ミイラが運ばれていて、その前に牛が一頭。何か飲むか食べるかしてますね。
 これは、死者に捧げる供物になる牛さんですね……。
 葬儀のあとにはどんちゃん騒ぎが待ってるんだろうか……。

 この、
 ミイラの後ろ、棺(?)の前の棒は
 何かはっきりしないが、呪術的な理由があったのではとのこと。
 牛さんの皮でも吊るすでしょうか……(まったくの想像です)

 個人的に一番hitだったのは
 ファイアンス製のネックレスですね。
(すみません、貴石類が中心のものであるため、「ファイアンス製」とは言わないそうです。
 ご指摘ありがとうございました!)

ファイアンスと金、紅玉髄のネックレス
ネックレス類は、どれも見甲斐があるものでしたが
(と言うか、やっぱり全体的に、目で見て美しいものを選んでいるような気がします)
 たくさんの色を使いながら、うるさくなく、
 エジプトらしさを感じるこのネックレスは本当に素敵でした。
 あまり色が多いと、どうしてもチラチラして、まとまりなくなるじゃないですか。
 それが、エジプトの装飾は(全部とは言いませんが)ちがうんですね、
 すばらしいバランスで、すべてが全体を生かしてる感じのものがあります。
 これは、そういうものの一つだなあと……
 すっかり、見入ってしまいました。

***

 ところで、ですね。

 上のネックレス、「そんなにキレイかな?」と思いませんか?
 まあ、実物見ても、感覚それぞれ、お気に召さない方もいらっしゃるでしょうが、
 この、写真。図録のものなんですが
 ものすごく、ショックです。
 画質が悪いのか(まあ悪いんですが)、バックの色が悪いのか(ありそう)
 何でこんなに、色がうるさく見えるんだろうこの画像!

 美術品って、写真写りで印象が変わること、多くないですか?
 金属や透明感のあるものはもちろん、そうでなくても、光や周りの色、角度などで、大分違って見えますよね。
 有名なツタンカーメンの遺物でも、写真によってまったく違う顔を見せてくれるなとよく思います。
 しかしまあ、これは………
 ちょっと、ひどいです……。
 惚れたものなので、なおさら、こう、がっかり感が……。

さてここからは図録の話。
 この図録、1200円くらいと非常に安いのですが、
 酷いです。
 何が酷いって、画像が酷い。
 全部とは言いません。丁寧に撮っているものもあります。
 ですが、ほとんどの画像が粗い。粗すぎる。カクカクしてる。
 動画を切り貼りしたか、小さいものを無理やり拡大したようなものが半分は占めてます!
 こんな図録、今まで手にしたことがないので……、
 なんというか、
 これは、ないだろう、と。
 こんなに美しいものを、こんな画像で扱って、恥ずかしくないのか、と思います。
 画像を処理した側に愛が感じられないです。酷い。
 シャンポリオンのノートが目玉なのか、これを大きく数ページ扱ってますが
 正直字が読めないのであまり意味を見出せません……。
 なぜ、
 他の美術品、
 例えば護符一つ一つを、
 ステラを
 アラバスターの壷を
 棺を
 このように、細部まで分かるように大きく、丁寧に写したりしなかったんだろう!
 レイアウトが斬新なのかもしれませんが、
 展示したものの半分も、きちんと写していないし、
 せっかく、生を目で見て感動したものを、図録で思い出し、より深く知ろうと思ったのに、
 これじゃあ、あまり役に立たない……。

 展示の雰囲気はいくらか伝わるかもしれませんが
 場所や様子が違うし……
 それより一つ一つを丁寧に見たかったよ……。

 ただ、
 図録の説明は、
 (前述のとおり、展示室内に説明として加えられていましたが)
 とても詳しく、一つのものをより深く掘り下げ、見る人へ「視点」を与えてくれるもので、
 すばらしいなと、思いました。 勉強になるなと。
 だからこそ、もったいないと言うか……

 ど う し て こ う な っ た 

 うーん、残念です。
 時間がなかったのか。
 不思議です。

 訳に不備があるとのことで
 訂正の紙が入ってましたが
 中野先生、とても厳しいです……私が添削されてる気分でした(笑)
 でも、誤訳してる部分もあったし、
 なにより、やはり表現は統一(出来るだけ)した方が、分かりやすいですよね!
 う、私も、頑張らなくては……。

**

 最後に
 図録に突っ込み
神様説明、マアトの図!? これはマアトじゃないwww

 アンハイの死者の書の挿絵の一部で、女神官アンハイその人。
 だってマアト様こんなにごちゃ飾りしないし……
 何より、こういうヒダのある流行服を、神様は着ないのですよね。 
 
 

拍手[7回]

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コメント

1. ファイアンス?

ファイアンス製のネックレスっていうタイトルは間違いですね。どう見ても貴石類が中心だからね。

Re:ファイアンス?

ご指摘ありがとうございます!
 そうなのですね、すみません、勝手に「ファイアンス製」としてしまって。誤解を生んでしまいますよね。
 すぐに修正します!

2. 楽しかったです!

あやめさんの記事で私もミイラ展行った気分になりました!有り難うございます!(でも本当は自分の目で見てみたいなぁ!)
色々と愛を感じる入り口の標識!もうこういうの大好きですっ!むしろこれだけでも満足ですっ!
オシリス神様ありがとうです!むしろ他の神様バージョンも作って下さい・・・!

もう私にはあやめさんの説明で他に言う事は無いです、凄く楽しめました!
ネックレス類、私も生で見たいです、感動しちゃうんだろうな・・・☆
本当に細かくて素敵だ!
昔ビーズのアクセサリー、ワイヤーで形を作って行く作業にはまった事があって、なんか今ならエジプト風な作品作れる気がしましたっ!(笑)いや、愛です!○○神とかできそうだ・・時間ある時に作ってみようかなw
そして最後にマアトwやっちまったなぁ・・・!

Re:楽しかったです!

わあ、ありがとうございます!
 本当に、展示の仕方やパネルもでしたが、
 こういう、ちょっとしたお遊びにも、愛を感じますよね!
 ほかの神様のも是非作ってほしいですよね、本当に!

 スミスさん、ビーズのアクセとか作られるのですね! 器用そうだもんなあ……アヌビスクッキーとか…!
 是非エジプト風のアクセを! 私が欲しい(笑)!
 ヒエログリフで名前を刻む物以外は、「これエジプトって言うかローマ風だよね」的なアクセが多い気がするので、そこのところをスミスさんの手作りアクセで大改革!
 楽しみにしてるのですー!

プロフィール

HN:
あやめ
自己紹介:
 古代エジプトについて趣味でいろいろ。
 ド素人が楽しくやってるだけのブログ。間違いもいっぱいあります。気付いたら直します。ご指摘感謝です。
 エジプト語読んでみる、とか書いてますが、ほとんどは訳を参考に、元の表現を確認しているだけ。文法がふわふわ。
 気が向いたときやるかも、みたいな。

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